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< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ戦第28局  観戦記 >
黒 趙治勲  25世本因坊   対   白 井山裕太  七段

動と静

2008年7月25日

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棋譜

 黒1、白2のあと、趙治勲の手が動かなくなった。盤上には目をやらず、窓や天井を見つめたかと思うと、両手で顔をおおったり、髪をかきむしったり。これが17分間も続く。

 一方井山裕太は、石が二つしか置かれていない盤を凝視したままぴくりとも動かない。動と静の見事な好対照だった。

 日本棋院のささやかな植え込みのアジサイが雨に輝いて美しい6月12日。トップを快走する井山と1ゲームの差で追う趙が激突した。井山が勝てば19歳での名人挑戦が見えてくる。敗れれば山田規三生を含めて3人が4勝2敗で並び、混戦のリーグ終盤を迎える。今期のキーポイントの一局であるのは間違いない。

 趙のウオーミングアップが終わり、呼吸が整って黒3へ。あとは少考を織りまぜながら序盤の骨格ができあがった。解説は林海峰名誉天元がつとめる。

 「黒15が重要な分岐点でした。黒Aと白一子を制するのもたまらない好点。この場合、狭い黒9のヒラキと好形の白10との交換が趙さんは不満と見たのかもしれません」

 黒が下辺を占めれば白は当然18のカカリ。黒19から白22までは互いにノータイムの進行だった。

 黒の次の一手も重大な分岐点だ。こんどこそAか、それとも。考え出せばきりがないが、趙の決断は速かった。

(春秋子)

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