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< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ戦第30局  観戦記 >
黒 黄翊祖  七段   対   白 坂井秀至  七段

厚い黒

2008年8月8日

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棋譜

 関西棋院の7階には対局室のほかに、棋士たちが集い、憩う部屋がある。そこで棋士や客人をもてなし、笑顔で雑事をこなす。若い棋士や院生に母親のように慕われているのが中村三千代さんだ。

 関西棋院所属以外の棋士も中村さんに頼るところは大きい。対局が始まってしばらくすると黄翊祖がやってきて、「対局室の温度を上げてくれませんか。記録係が風邪気味のようなので」。

 盤上はすでに難しい状況だった。左下、白16のコスミツケから思わぬ変化になった。黒17のハネに素直に白Aとオサえるのは、黒19のアテを利かされ、白20ツギ、黒23カケツギで黒が眼形を得て強くなる。そこで白は18と変化した。

 黒21の押しに、坂井秀至は白22の切りを犠打に地をかせぐ。白26までの初めて見る形ができあがった。「黒がだいぶ厚いので、白を持ちたい人はいませんでしたが」と解説役の本田邦久九段。白16では23と迫りたかったという。黒はBにハイ、白C、黒Dにノゾく変化が考えられ、実戦よりもまさった。

 まずは一本取った黄。しかし黒27のカカリがどうだったか。一間にトンでいる下辺の白を攻める気分だが、まだ切断もしてもいないのでは話が遠い。局後、「27では右上をシマるのでしたか」との黄に坂井も「そのほうがイヤでしたね」。

(内藤由起子)

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