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< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ戦第31局  観戦記 >
黒 井山裕太  七段   対   白 小林覚  九段

小林のすごみ

2008年8月15日

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棋譜

 19歳の名人戦挑戦者が誕生したことをみなさんは知っている。この碁はその快挙に大きく近づいた一局だ。

 井山5勝1敗、小林4勝3敗。小林が勝てば、井山の最終戦の結果次第では挑戦権のゆくえは揺らいでくる。しかし、これはあくまでも計算上のことだ。小林には6月の対黄翊祖戦の半目負けが大きな影を落としていた。

 「勝っていれば、今日はもっと盛り上がっていたのになあ」

 対局前の検討室で小林。なんでもオープンにする彼らしい正直な言葉だが、聞いているこちらはなんて声をかけていいか分からない。それを察したのだろう、こう続けた。

 「こういうときこそがんばらないとね。可能性はあるのだから」

 井山は本当にいつもどおり。自分が達成しようとしているとんでもない記録に気がついていないかのようだ。

 黒1から3、5の高いシマリなら、白は右辺の割り打ちではなく6と下辺を占めるのが自然という。小林は白8から10、12と足早に展開。井山は盤上でも落ち着いたもの。黒13だ。ガッチリ構えて不満なしと見ている。

 白14のツメに解説の潘善キ七段は小林のすごみを感じたらしい。

 「黒が13と力を蓄えたのだから、白14は17と守る相場です。もちろん小林先生は百も承知。黒15から19と攻めさせて戦機をつかもうとしています」

(松浦孝仁)

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