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< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ戦第31局  観戦記 >
黒 井山裕太  七段   対   白 小林覚  九段

ジレンマ

2008年8月15日

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棋譜

 小林の失着を的確にとがめて形勢を盛り返した井山。ここから並ぶ間もなく抜き去ってしまう。加速度は黒73を境にアップした。

 このツケに限る。こう忙しく打ってこそ意味がある。黒73で83などと遠慮していると、白Aの逆襲を心配しなければならない。また、黒79の両ガカリも白B、黒85のとき白Cで、上辺から中央の黒が薄くなる。

 潘「中央から下辺にかけての白はかなり強固。だから、固めてもいいというのが黒73を際立たせる一つ目の理由。白74に黒75で、中央黒との連携を強めるのが二つ目。そして真の目的は、左下白への攻めです」

 小林は下辺を手抜きして白76から80と上辺黒の攻めに向かう。この展開を井山は待っていたのだと思う。上辺黒は88で確かに千切れたが、逆に黒Dの三々入りを決行しやすくなっている。上辺黒が大きく攻められる流れなら、もちろん黒は三々入りを狙えない。

 白が黒を大きく攻めたいのなら白80でEと切断するしかないが、それは黒80で簡単にしのぎ形。つまり、黒は軽いのだ。軽いから、白が攻めれば攻めるほど黒にポイントが積み重なっていく。

 その間に黒は79から85で左下白をほぼ制圧。三々入りの弱点を残している左上白の規模とそうかわらない構えに成長した。

 あとは仕上げを残すのみだ。

(松浦孝仁)

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