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< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ戦第35局  観戦記 >
黒 坂井秀至  七段   対   白 趙治勲  25世本因坊

恥ずかしい

2008年9月12日

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棋譜

 坂井の第一着に、趙は間髪をいれず白2と打ちつけた。黒3に対してもすぐ白4。黒の少考、ノータイムの白、という応酬が黒9まで続いた。

 坂井は「やろうと考えていた作戦があったのです。でも趙先生の手が速くて。急きょ、予定変更で、黒9にコスみました」。

 ここで趙の手が止まった。「坂井さんは、残留が決まっているでしょ。だから大胆に来ると予想していたのに。手堅いコスミを見て、あら、坂井さんは勝ちに来ているなと。そうしたらなんだか僕も勝ちたくなっちゃってね」と趙。ふつうに見える白10の二間ビラキを、なんと、たいそう悔やんだ。

 白10ではAと広くヒラくのが趙の流儀だ。白16までの決まった形ができあがるまで、今度は趙が少考を重ねた。「こんな人まねするようでは、僕の碁じゃない。恥ずかしい」と局後、吐き捨てた。

 趙は本局に勝てばリーグ残留決定。負けても、依田紀基と黄翊祖のふたりが負ければ残ることができる。「精いっぱいやって負けなら落ちても仕方がない。思い切りいこう」と臨んでいたという。

 白22のツケに黒23と下にハネるのは、29まで部分的には黒がつらい。地を先行して趙の得意の作戦を封じようというのだろう。

 昼休憩をまたぎ、58分を投じて趙は白30に打ち込んだ。

(内藤由起子)

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