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< 第33期名人戦七番勝負第1局  観戦記 >
黒 張栩  名人   対   白 井山裕太  挑戦者

喜びの出陣

2008年9月26日

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棋譜

 名人の手が右上小目に伸びると、サウスポーの挑戦者は左上の星に。緊張か、武者ぶるいか、挑戦者の指先がかすかに震えていた。

 無理もない。2日制対局も、カメラの大放列も、前夜祭での決意表明も、すべてが19歳の井山にとっては初めてなのだ。しかしさすがに大物だなと思う。いざ出陣とばかりに入室するときは周囲と軽くあいさつをかわし、対局開始までの数分は目薬をさしたり、背筋を伸ばして碁器の置かれた盤上をじっと見つめたり。何回も七番勝負を経験した古豪のような落ちつきだ。「プレッシャーはあまり感じません」と井山は前日に語ってくれた。

 勝手に胸中を探ると緊張や恐れより喜びの方が大きいのではないか。12歳で入段したとき、22歳の張はすでにトップの一員。以来ずうっと目標にしてきた。そしていま、最高の舞台で思う存分戦える。これ以上の喜びはあろうはずがない。

 こうして七番勝負は始まった。新鋭がどう名人に迫るかと同時に、どんな碁ができるかがファンの関心事だろう。そこでさっそく盤上に注目。解説は小松英樹九段。

 「黒3に白4と一間に受けたので、ありきたりの序盤にはならないでしょうね。白4でAの小ゲイマだと、黒は6を占め、大流行布石へと進みます。白4なら黒5からBを狙いたくなるものです」

(春秋子)

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