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< 第33期名人戦七番勝負第6局  観戦記 >
黒 井山裕太  挑戦者   対   白 張栩  名人

名人らしい

2008年11月28日

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棋譜

 第6局に向かう新幹線の中、張栩名人の表情はみけんに力が入って硬かった。

 強い者の宿命とはいえ、日程の過密さには拍車がかかっている。第5局から本局までの10日余りに、王座戦挑戦手合を含む3局もが組まれていた。ハードスケジュールであっても、名人は全勝で駆け抜ける。調子も気分もいいに違いない。

 対照的に、井山裕太挑戦者の流れはいまひとつ。第5局のあと、棋聖戦挑戦者決定戦でも負けて、連敗からいまだ抜け出せないでいる。

 本局はあとがないカド番。挑戦者の踏ん張りが見どころだ。

 定刻6分前、先に姿を見せた挑戦者は、下座につくといつも通り盤上をふき清める。続いて座った名人は、おしぼりで目を押さえ、首筋も温める。青白かった顔色に、ほんのり赤みが差した。

 黒1、3に対して、名人は白2、4と愛用の構えを敷く。

 挑戦者は「違う布石にしようと思っていたのですが」、黒5と小ゲイマにカカった。

 黒7のトビに白8と二間に受けたのは、名人ならでは。「張さんらしいヒラキです。実戦で他の人が打ったのは見たことがないのですが。自分の考えをしっかり持っているのは、とても大事なことなんです」と解説役の趙善津九段。

 変化球に対し、次の挑戦者の手は意外に速かった。

(内藤由起子)

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