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< 第33期名人戦七番勝負第7局  観戦記 >
黒 井山裕太  挑戦者   対   白 張栩  名人

自由に打ちたい

2008年12月12日

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棋譜

 第6局から1週間。正確に言うと中3日の休みを挟んで最終対局地の甲府へ向かった。たかが3日、されど3日だ。名人は過密日程による疲れが第6局にどっと出た。

 「家で家族とのんびりできて。いい気分転換になりました」

 挑戦者も静かに決戦のときを待っていた。

 「第5局のあとなど友人と集まってワイワイやることもあったのですが、この3日間は家で過ごしました」

 七番勝負の最終局を迎えるたびにいつも思う。第7局の勝敗は何によって決められるのかと。「実力」と言うのは真理ではないだろう。少なくとも3勝3敗になった時点で互角のはず。では「運」か。これは言い訳にも聞こえる。運で名人位がつかめるとも思わない。「経験」か。それが真実なら40、50代の棋士がタイトルを独占していなければならない。記者はこの答えをどうしても導き出せない。

 ただし、いつもの対局と違うことだけは感じ取れる。黒1、3、5の構えに名人は打ってみたい手があった。しかしこの朝は白6を試してみたくなった。挑戦者は左辺の構えが直近の世界戦の対局にあったことをインターネットで確認していた。それを試そうと思ったか、世界戦同様、黒9のカカリを選ぶ。

 いつも以上に自由に打ちたい。そんなふうに記者は感じた。世紀の一戦は気持ちよく幕を開けた。

(松浦孝仁)

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