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囲碁名人戦七番勝負 第2局1日目ダイジェスト

写真封じ手を記した紙を立会人の坂口隆三九段に手渡す挑戦者の井山裕太八段(右)。中央は張栩名人=大津市の比叡山延暦寺会館

写真大盤解説会で聞き手を務めた尹春浩アマ名人=大津市の比叡山延暦寺会館

棋譜拡大<途中図>(51〜88手)

棋譜拡大〈途中図〉(1〜50手)

国宝の根本中堂近くで比叡山についての説明を受ける両対局者ら=大津市で

写真山田規三生九段ら日本棋院関西総本部の棋士と指導碁を打つ囲碁ファンら=大津市の比叡山延暦寺会館

写真第一着を打つ挑戦者の井山裕太八段(左)と、張栩名人=17日午前9時、大津市坂本本町の比叡山延暦寺会館、荒元忠彦撮影

 ◆2日目は、中央の黒模様が焦点

 名人の白72のハネ出しから局面は大きく動き、そのまま封じ手を迎えた。

 黒75で右辺の白は二つに分断された。難解な攻防で、白82には、名人にしては大長考といえる47分が費やされた。検討室では、白の一方の一団を捨て気味に打つのではという意見もあったが、名人は白84、88で生きを確保。代償として、一方の右辺の一団が不安定になった。

 1日目は名人(白)の実利、挑戦者(黒)の厚みという対抗が貫かれた。解説の結城聡九段は「挑戦者が右辺の白を攻めながら、中央をどうまとめるかが2日目の焦点です」と話した。

 ◆挑戦者、89手目を封じる

 封じ手をしても良い午後5時半を迎えた。しかし、挑戦者、名人共にまだ封じず、手が進む。1局目の1日目は挑戦者が午後5時28分に着手し、名人が同33分に封じていた。

 午後5時46分、挑戦者が89手目を封じて1日目を終えた。消費時間は挑戦者4時間33分、名人3時間13分。18日午前9時に再開する。

 ◆名人、厳しいハネ出し

 右辺黒65のツケに白は右下へ66とツケた。黒67、白68に続いて、黒が67の右にツゲば穏やかだったが、挑戦者は黒69と目いっぱいに頑張る。この手が下辺白の眼形を脅かしている。そのかわり、白70の出に黒71と緩めねばならず、なんとも味悪だ。

 右下黒に白からの手段、ありやなしや。

 名人は白72と厳しくハネ出す。対局1日目の勝負どころを迎えた。

 ◆大盤解説会始まる、アマ名人の姿も

 延暦寺会館2階の大広間では大盤解説会が始まった。解説は日本棋院関西総本部の山田規三生九段、聞き手は井澤秋乃四段。「2人ともペースが速いですね。勇気のいる手でも決断が速い」と山田九段。同じ関西総本部の後輩になる井山挑戦者について「普段通りにのびのびと打っています。うらやましいです」。

 第61期本因坊戦の挑戦者だった山田九段は「勝ちたいのと同時に、歴史に残るので恥ずかしくない碁を打ちたいという気持ちになる。それが七番勝負です」と話した。訪れた約60人の囲碁ファンが熱心に耳を傾けている。

 また、会場には尹春浩(ユンチュンホ)アマ名人が姿を見せ、大盤解説会では北野亮七段とのペアで聞き手を務めた。尹さんは「昨晩、名人と食事をしたが、リラックスした様子だった」などとエピソードを披露した。

 韓国出身の尹さんは名人戦の対局場を訪れたのは初めて。取材に対し、「韓国にいた頃から、日本の名人戦の棋譜をよく並べて勉強していた。その舞台に来ることができて思い出になる」と感慨深げだった。

 ◆攻めを狙う挑戦者

 黒51と右上にカンヌキを下ろして、名人がどう右辺黒の勢力圏に足がかりを求めるかが焦点になった。

 名人は右下白52のボウシ。黒53、55に一転右辺白56に入る。挑戦者は冷静に黒57に戻して、黒59、61と下辺の攻めに向かった。解説の結城聡九段が「黒は白を攻めながら中央を盛り上げたい。下辺白と右辺白をカラミ攻めにしたいところです」と言った矢先に、挑戦者が右辺黒65にツケた。

 ◆黒の厚み、くっきり

 午後1時の再開から30分で50手まで進んだ。白番の名人の実利、黒番の挑戦者の厚みという構図は、白44から黒47で上下の黒の壁が見た目にも連絡し、厚みがくっきりと浮かび上がった。対する白は左上に30目を超える地を確定させた。

 挑戦者は白48のアテに手を抜いて右辺黒49に先行した。黒の厚みが今後、どの程度働いてくるか。

 ◆対局再開

 午後1時、対局が再開された。名人は30秒弱考え、4の十二と一間トビに打った。

 ◆昼食休憩に

 名人が44手目を考慮中に昼食休憩に入った。消費時間は挑戦者が2時間12分、名人が48分と差がついている。

 ◆「実利」対「厚み」再び

 名人は地にからく、挑戦者は比較的厚みが好きといわれる。第1局の序盤同様、今局でも両者の持ち味がよく出た進行となっている。

 左辺白14のハサミに挑戦者は黒15から手厚く決めて厚みを築いた。名人は白26とコスミツけ、隅の実利を意識しながら28で黒を攻める姿勢を見せた。挑戦者が黒29を一本利かして31にツメ、折衝が始まっている。

◆指導碁にぎわう

 対局会場の延暦寺会館の2階では、日本棋院関西総本部所属の棋士による指導碁が始まった。山田規三生九段、北野亮七段、井澤秋乃四段、阪本寧生二段がそれぞれ5人を相手にする「5面打ち」で指導。熱心な囲碁ファンたちが真剣な表情でプロに挑んだ。

 指導碁は17日午後、18日午前もある。

 ◆1200年の重み

 対局が行われている延暦寺会館は標高約700メートルにあり、琵琶湖が一望できる。16日には両対局者、関係者らが国宝の根本中堂などを巡った。

 比叡山は最澄によって開山され、鎌倉時代には法然、栄西、親鸞、道元、日蓮といった僧たちも修行に励んだ。薬師如来をまつる宝前には1200年守り継がれてきた「不滅の法灯」が堂の中を照らしている。国宝の根本中堂は徳川幕府3代将軍、家光の頃に建てられたという。一行は堂内に足を踏み入れ、歴史の重みを実感。張名人は前夜祭で「素晴らしい環境の中で散歩したら落ち着いた」と話した。

 ◆名人ハイペース「作戦か」

 午前10時までに28手進むハイペースとなった。その原因は白番の名人にありそうだ。ほとんどノータイムで打ち続け、1時間の消費時間は名人8分、挑戦者52分。検討室からは「名人の作戦か」との声。

 ◆関西著名棋士の見解

 16日夕に対局場の比叡山延暦寺会館で開かれた前夜祭。主役の2人が決意表明の後に下がったところで、関西を代表する棋士たちが、対局の見どころを話してくれた。

 立会人の坂口隆三九段が「青森での第1局は名人の仕掛けに井山さんがうまく対応していた」と言えば、現地大盤解説担当の山田規三生九段が「確かに井山さんの名局だったと思います。でも今回は張栩さんも対策を立ててくるでしょうね」と続けた。

 朝日新聞解説の結城聡九段は「僕は近々、全日本早碁オープン戦の準決勝で張名人と戦います。個人的には張さんの弱点を見つけたい」と会場の笑いをとり、井山挑戦者のことは「どんどん強くなっている」と一言。今回の出席棋士に限らず、挑戦者については「日に日に強くなる」「寝るたびに強くなる」などとその成長の速さに驚くトップ棋士が多い。

 NHK衛星放送解説の今村俊也九段は「井山さんの地元、関西での対局とあって、名人はアウエーでの戦いになる。その名人の決意表明には1局目以上の気合を感じました。明日からの戦いは、歴史に残る棋譜が見られるような気がします」と名勝負への期待を寄せた。

 ◆対局開始

 張栩名人(28)に井山裕太八段(19)が挑戦する第33期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第2局が17日、大津市で始まった。名人がタイに戻すか、挑戦者が連勝して名人位に近づくかを決する注目の一番だ。

 午前9時、定刻通りに対局開始。黒番の井山挑戦者が16の四、右上隅星に第1着を打ち下ろした。

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