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囲碁名人戦第5局1日目ダイジェスト

図拡大<途中図>先番・張名人(71手まで)

写真拡大<途中図>先番・張名人(60手まで)

棋譜拡大〈途中図〉先番・張名人(44手まで)

写真拡大両対局者の色紙

写真第一着を打つ張栩名人

写真封じ手を立会人の王銘エン(エン=王へんに宛)九段に手渡す井山裕太挑戦者(右)

●○「ぎしぎし」とした戦い/武宮陽光の目●○

 午後に入り、口火を切られた戦いがいよいよ白熱してきました。名人の一直線の攻めに対して、挑戦者は相手の弱点を突きながらの力強いシノギを見せており、両者一歩もひかない「ぎしぎし」と音がするような戦いです。1日目からこんなに激しくなるとは意外でしたが、見ている側にとっては大変面白い碁になりました。明日は、どちらかがつぶれるのか、あるいは穏やかにわかれるのか、朝から目が離せません。

◆挑戦者、72手目を封じる

 午後5時37分、挑戦者が72手目を封じて1日目を終えた。消費時間は名人2時間59分、挑戦者4時間38分。

◆4回目の名人戦

 対局場の「わかつき別邸」(静岡県伊東市)は若槻礼次郎・元首相(1866〜1949)が晩年を過ごした別邸だ。囲碁名人戦が打たれるのは今回で4回目。張栩名人はそのすべてに登場している。04年は依田紀基名人(当時)に勝ち、05年は小林覚挑戦者(同)に敗れ、06年は高尾紳路本因坊(同)に勝っている。若槻元首相がこよなく愛した部屋は今も「若槻の間」の名で残されている。庭園の池に面しており、情趣がある。

●○一気に緊迫/武宮陽光の目●○

 名人が黒53と急所に迫った手に対し、挑戦者が白54と反発して、一気に緊迫した局面を迎えました。白は54で55と打てば堅いですが、黒54とノビられるとつらい形なので、こう打ちたいところです。ここ数手は最強手の応酬が続いていて、一歩間違えればお互いにつぶれかねません。こんなに急に激しくなるとは思いませんでした。1日目にして早くも勝負どころを迎えている感じです。

●○興味深い折衝/武宮陽光の目●○

 再開後第一着の黒45は手堅い手です。もう少し大きく構えるかな、と思いましたが、名人は右上のわかれを不満なしとみているのでしょう。白46ではどこから打って消しにかかるか難しいところでした。まだ死にきっていない右上の白3子の活用をにらんでいます。黒がどう攻め、白がどうさばくか興味深い折衝が始まったところです。

◆対局再開

 午後1時、対局が再開された。名人はしばらく考えている。上着を脱いで、水を口に含んだ。そしておもむろに上辺から二間トビに打った。

●○厚み対実利/武宮陽光の目●○

 44手目まで進んだ午前中の進行で、名人の模様と挑戦者の実利という構図がはっきりとしました。名人は実利重視型ですから普段とは逆のイメージで、おもしろいですね。

 午前中の焦点は右上。序盤に黒5と趣向のヒラキを見せた名人が、黒27のアテにわずか2分しかかけていないことから、事前に研究済みであったと思われます。挑戦者は白36までの分かりやすい変化を選びましたが、黒の厚みがすばらしいので、厚み派の私としては夢のような姿に見えます。ただ、挑戦者としては、右上の黒の厚みにくっついている白3子が死にきっていないので、将来、その味を見ながら、さばきを狙うことになるでしょう。

◆昼の休憩に

 名人が45手目を考慮中に昼の休憩に入った。午前中の消費時間は黒番の名人49分、白番の挑戦者2時間11分。午後1時に再開する。

◆挑戦者、驚きの46分長考

 名人の黒21に挑戦者は19分を費やして白22と黒の勢力圏に入った。続いて白24のツケに14分。驚くべきは黒27とアテられた場面で長考に沈んだことだ。ここは黒一子を逃げる一手と思われるのだが……。結局、挑戦者は46分の長考で常識的な白28(24の右)を選ぶ。長考中、どんなことを考えていたのだろうか。

◆色紙

 対局前日の14日午後5時半からの対局室検分の後、張栩名人と井山裕太挑戦者は、それぞれ色紙に揮毫(きごう)した。張名人は得意とする詰碁(黒先白死)の問題を、井山挑戦者は「無心」「気合」の2枚を書いた。筆を執っている間は2人とも無言だったが、その雰囲気からは重要な勝負となる第5局にかける気迫が伝わってくるようだった。

●○名人、模様で勝負!/武宮陽光の目●○

 みなさんおはようございます。武宮陽光です。前局に続いてネット解説を担当させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。両者2勝2敗で迎えた、まさに天王山の一戦が始まりました。

 さっそくですが、名人には珍しく模様の碁になりそうな気配がします。黒21では右辺に一手かけて白からの打ち込みに備えるのもありましたが、実戦は堂々たる大きな打ち方です。打ち込みには勢力をバックに迎え撃とうという態勢です。

◆対局始まる

 張栩名人(28)と挑戦者の井山裕太八段(19)が2勝2敗のタイで迎えた第33期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局が15日、静岡県伊東市の「わかつき別邸」で始まった。

 定刻の午前9時、立会人の王銘エン(エン=王へんに宛)九段が「時間になりました」と告げると、先番の名人が第一着を右上小目に打ち下ろした。名人位獲得にあと1勝と迫るのはどちらか。

 対局は2日制で持ち時間各8時間。16日夜までに決着する。

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