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囲碁名人戦七番勝負第7局1日目ダイジェスト

図〈途中図〉先番・井山八段(70手まで)

写真封じ手を立会人の淡路修三九段に渡す井山裕太挑戦者(右端)。その左は張栩名人=5日午後5時40分、甲府市の常磐ホテル、大村治郎撮影

図<途中図>先番・井山八段(68手まで)

写真立会人の淡路修三九段(右から2人目)らによる検討をのぞき込む白鳥澄子五段(左端)

写真昼食休憩直後の両対局者=5日午後1時

写真〈途中図〉先番・井山八段(36手まで)

写真第一着を打ち下ろす井山挑戦者(左)=5日午前9時すぎ、甲府市の常磐ホテル、村上耕司撮影

●○1日目にして勝負どころに/武宮陽光の目●○

 白70と出た所で封じ手になりました。布石はゆっくりした両者堂々たる進行でしたが、右上で黒39とツケオサえ、45と切ったところから戦いが始まりました。お互い、眼のない石が入り組んでいてどこが焦点なのか難しい戦いになりました。黒67とツガされた形が悪く、さらに白70と出た手が強手で、どう対応したらいいか難しい。私が黒ならどうしたら良いのかわかりません。映像を見ても、挑戦者は困っているように見受けられましたので、何か誤算があった可能性もあります。明日、どのようなシノギを用意しているのか、場合によってはツブれかねない勝負どころなので朝から目が離せません。

◆挑戦者、封じる

 午後5時35分、挑戦者が71手目を封じて1日目が終わった。消費時間は挑戦者4時間9分、名人3時間26分。

●○難しい戦い/武宮陽光の目●○

 黒、白共に眼形がはっきりしない石が入り組んでいて、難しい戦いです。黒59のノゾキに対し、白60とノゾき返した手を挑戦者はうっかりしたかもしれません。61との交換で黒からの出切りを先手で防ぎ、白62と押されてみると、左上の黒石がにわかに薄くなった印象です。挑戦者は黒63から左辺と中央の黒をツナがりにいきましたが、白66とアテられ、黒67とツガされた形が大変まずい形です。どうも黒の雰囲気が悪くなってきました。

●○右上で戦い続く/武宮陽光の目●○

 白44とコスんだ手は力強い手です。何となく黒が厚そうな局面なので、52あたりに軽く打つ感じもあったのですが、名人はぼんやりした手は好まないのではっきりした手を選びました。45に切られても戦えるという判断です。今後の展開としては、眼形がはっきりしない左辺の黒と右辺の白がどうなるか。右下の黒模様がどうなるか。また相変わらず、下辺のどちらが先着するか、というのがポイントになると思います。

◆ゲスト続々

 控室には甲府市在住の白鳥澄子五段が中山薫二段らと共に姿を見せた。白鳥五段は1949年入段という大ベテラン。立会人の淡路修三九段らが検討する様子を穏やかな表情で見つめながら、「(検討の様子を見ていると)気持ちが若返ります」と話していた。

●○意外な展開/武宮陽光の目●○

 黒37のハサミは予想通りでした。右下の模様とのバランスが良さそうだからです。ただ、41のオサエはどうだったでしょうか。今までの中央の勢力重視の流れからすると、若干違和感を感じます。白42と頭をたたかれた姿は、この碁ではよりつらいような気がします。私でしたら、黒41で42とノビるか、黒39で逆の方にツケノびるかどちらかを選んだでしょう。

◆対局再開

 午後1時になり、記録係の奥田あや二段が「時間になりました」と告げた。挑戦者は休憩前に続き、考えている。

●○戦いは右辺へ/武宮陽光の目●○

 名人が白36と右辺にカカったところで、1日目の午前中が終わりました。中央の白石に対する急な攻めはないとみての判断でしょう。黒は36に対してハサんでいくことになると思いますが、その戦いがどうなるか、また下辺の大どころにどちらが先着するかが焦点になりそうです。

◆昼食休憩に

 正午になり、挑戦者が37手目を考慮中に昼食休憩に入った。消費時間は挑戦者1時間33分、名人1時間27分。

●○堂々たる進行/武宮陽光の目●○

 両者堂々たる進行ですね。黒としては、下辺のアテコミ(26の上)からオサエる手が地としても大きく、左下隅の白に対する手段がその後の狙いとして残るので大変大きな手です。それを防ぐ意味で、白は下辺ケイマに躍り出す手が大きく、両者すぐにでも打ちたいところですが、白30から黒35まで中央での力関係を重視した、本格的で手厚い着手が続いています。見ていてとても気持ちの良い進行です。

●○黒、手厚い姿/武宮陽光の目●○

 名人は白26とコスみましたが、黒29とオサえた姿が「ビン」として厚いので、白はコスむ代わりに29と出て、黒の形に節をつけてみたかった気がします。この節がついているかついていないかで、白の中央のシノギがだいぶ違います。

●○左辺の力関係が焦点/武宮陽光の目●○

 黒13では、一路控えて二間にヒラくのもあったところですが、左上白が一間ではなく小ゲイマに構えたので、こう打ちたくなったのでしょう。ただ、実戦白14の打ち込みから18とワタった手が、黒の眼を奪いながら左上の白地を味良くさせた一石二鳥の手になるので、名人としては不満のない進行と思います。黒としては19に打ち込んで、左辺の黒の一団を攻めに活用できれば打てる、という判断でしょう。今後、左辺の黒と白の力関係がどうなるかが最初の焦点です。

●○名人の意欲/武宮陽光の目●○

 注目の握りの結果、挑戦者の先番となりました。名人は黒が好きですから、黒を取りたかったところでしょうが、白が苦手というわけではありませんから、この一番に影響はないでしょう。

 早速、6手目で珍しい手が出ました。一路上なら中国流という昔からよくある手ですが、ごく最近、一路狭く構えることが見られるようになりました。5局目でも名人が試みた手ですが、白番で打ったのはあまり見かけない気がします。この大一番で新しい試みをする所に、名人の意欲と積極性を感じます。

◆8回目の名人戦

 常磐ホテルで名人戦が行われるのは、昨年に続いて8回目(旧名人戦を除く)。名人は3回目の対局、挑戦者はもちろん初めてだ。

 対局場になっている部屋は離れの「九重」。窓外には中庭が見渡せる。この庭は、米国の日本庭園専門誌のランキングで20位に入ったそうだ。11月に入り、庭の木々は色づき始めているが、対局者の2人にその眺めを楽しむ余裕はないだろう。

●○流れは五分/武宮陽光の目●○

 みなさん、おはようございます。武宮陽光です。第7局のネット解説を担当いたします。よろしくお願いします。

 挑戦者の2連勝でスタートしましたが、そこから名人が一気に3連勝。流れは名人かと思われましたが、挑戦者が踏みとどまってついに最終局を迎えました。こうなると、もう流れは五分と言えるでしょう。天下分け目の戦いは一体どちらが制するのか、目が離せません。現地よりリアルタイムでお届けいたします。2日間、よろしくお願いします。

◆対局開始、挑戦者先番

 張栩名人(28)に井山裕太八段(19)が挑戦する第33期囲碁名人戦第7局が5日、甲府市の常磐ホテルで始まった。3勝3敗で迎えた最終局。名人が通算4期目の獲得なるか、挑戦者が史上最年少で名人の座に就くか、名人戦史上に残る大一番となった。

 午前9時、握りで先番を得た挑戦者は右上隅星に第一着を放った。

 対局は2日制で持ち時間は各8時間。6日夜までに決着する。

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