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スポーツの祭典で囲碁 ドーピング検査には戸惑いも

2010年5月26日

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 囲碁のプロ棋士がスポーツの舞台へ――。今年11月に中国・広州で開催されるスポーツの祭典・アジア大会の正式種目に囲碁が初めて採用され、日本からも代表チームが参加する。国内の囲碁団体には、棋士がドーピング検査を受けさせられる事態への困惑も見える。

■棋士たちの本格参加は初めて

 囲碁の棋士たちが本格的なスポーツ大会に参加するのは、今回が初めてになる。

 「日本の伝統文化として発展してきた囲碁は、71カ国・地域に広がりを見せている。海外では『頭脳(マインド)スポーツ』として定着しつつあり、このアジア大会を機に、囲碁の新しい魅力を認識してほしい」

 全日本囲碁連合の大竹英雄会長(日本棋院理事長)は4月の記者発表でこう語った。同連合は、アジア大会へ選手を派遣するために発足した団体。発言には「伝統文化」と「スポーツ」という語がともに含まれていた。

 囲碁はアジアを中心に世界中で愛好される。国際囲碁連盟(IGF)に加盟する協会はアジアでは16カ国・地域にあり、その大半がアジア大会に選手を送る見込みだ。

 日本は中国、韓国、台湾と同様にプロ棋士を出場させる。タイトル保持者などから選抜する方針で、井山裕太名人や山下敬吾天元、元名人の高尾紳路九段らが有力。5月中にも候補選手を固める。

 選手たちは11月20〜26日、男子団体などの3種目でメダルを争う。

■中国「昔からスポーツに分類」

 スポーツの祭典に、なぜ囲碁が選ばれたか。囲碁やチェスがスポーツとみなされている海外の実情や囲碁大国の意向が、背景にある。

 囲碁は今回、同じボードゲームである「チェス競技」枠の一部として、象棋(シャンチー、中国将棋)とともに種目に加えられた。チェス自体は前回のドーハ・アジア大会(2006年)で初採用されている。

 囲碁の採用は開催国・中国の希望でもあった。中国は世界1、2位を争う囲碁の強国。金メダル候補なのだ。

 日本では「(伝統)文化」とみられることの多い囲碁。だが中国棋院(北京)の劉思明院長は「昔から囲碁はスポーツに分類されている。肉体を動かす競技も頭脳の競技も同じ」と語る。中国棋院が属するのは国家体育総局。文化庁が日本棋院を所管する日本とは見方が異なる。

 大会では陸上や野球など一般のスポーツ選手と同様、囲碁選手も尿検査を受ける。関係者が懸念するのは、このドーピング検査だ。風邪薬などの服用やサプリメント(健康補助食品)を摂取する際も、どんな成分が含まれているか、注意が必要になる。

 陽性反応が出て、悪質な行為と認められたら、名人戦などの国内棋戦への出場が最大2年間禁止される可能性もあるという。「ドーピング検査は初体験で、対応に苦慮している。専門医に相談できる窓口を設けるなどして、選手たちの不安を取り除きたい」と囲碁連合の担当者は語る。

 今月18日に開いた棋士向け説明会では、ドーピングについても説明された。会の後、井山名人は「筋肉増強剤が囲碁に効果があるとは思えないけれど」と言いつつ、「体内に入れるものに気をつけたい」と語った。

■高い「金」のハードル

 アジア大会で「囲碁の日本代表に金メダル!」が実現する可能性はあるのか。現状では、実現は容易ではない。

 かつて実力で世界一を誇った日本だが、近年は中国や韓国に抜かれ、実績で大きく水をあけられているからだ。

 第一人者を日本代表に選べない苦しさもある。

 現在、日本で男女それぞれの第一人者である張栩(ちょう・う)棋聖と謝依旻(しぇい・いみん)女流本因坊は、いずれも台湾出身。アジア大会では日本国籍の選手しか日本代表になれないため、2人は台湾代表として日本の前に立ちはだかることになりそうだ。

 大竹会長は会見で「(目標は)金メダルしかない。若干の強がりもあるが、そのつもりで選手を送り出す」と語った。「日程が許せば強化合宿もやりたい」という。(伊藤衆生)

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