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往年の力、激突 「マスターズカップ」開幕

2011年3月3日

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写真:大竹英雄名誉碁聖(中央)を交えて局後の検討をする林海峰名誉天元(右)と工藤紀夫九段(左)=2月24日、東京都千代田区拡大大竹英雄名誉碁聖(中央)を交えて局後の検討をする林海峰名誉天元(右)と工藤紀夫九段(左)=2月24日、東京都千代田区

図:〈マスターズカップ1回戦〉
白 林海峰 ― 黒 工藤紀夫
1―184手・以下略、白中押し勝ち拡大〈マスターズカップ1回戦〉 白 林海峰 ― 黒 工藤紀夫 1―184手・以下略、白中押し勝ち

 囲碁界初のシニア公式戦「第1回エステー&フマキラー囲碁マスターズカップ」が2月24日、開幕した。50歳以上の七大タイトル経験者11人全員が出場するトーナメント。この日に打たれた2局は、ともに激しいねじり合いになった。気合の空回りか、あるいは疲れか。ミスもあったが、若々しいはつらつとした対局だった。

■2戦ともねじり合い

 東京で打たれたのは、林海峰名誉天元(68)―工藤紀夫九段(70)戦。「20年前にシニア棋戦ができてほしかった」と笑う工藤は、最年長出場だった。

 序盤から手厚く打ち進めた黒番・工藤の狙いは、厚みを生かした攻め。黒97、99が強烈だった。黒111と本気で下辺の白を殺しに行き、黒139までで大石を召し捕った――はずだった。「もう終わってた」と、林も投了を覚悟していたことを認める。

 しかし、実際は終わらなかった。

 右下白140に黒141が無用の頑張り。二路左の黒151ならば手堅く、黒の勝利だったという。林は右下にアヤをつけてから下辺を白150、152と動き、左側の黒の大石との攻め合いに持ち込んだ。白168で中央の黒九子を抜いて逆転。「二枚腰」と呼ばれたこともある林の粘り勝ちだった。

 両者が苦笑いを繰り返した感想戦では「あちこち、おかしかった」(工藤)、「(途中から)打ってるだけだった」(林)と、まるで両者とも敗者のようだった。

 名古屋市で打たれた羽根泰正九段(66)―片岡聡九段(52)戦は、碁盤の4分の1(右上一帯)が黒石と白石で埋め尽くされるほどのねじり合い。羽根に大失着が出て、片岡が大石を取って白番中押し勝ち。こちらも派手な決着だった。

 マスターズカップを主催する日本棋院理事長で、出場者でもある大竹英雄名誉碁聖(68)は開幕日の2局を終え、「出場する棋士たちには、往年の力というか、自分の魅力を出してほしいと願っていた。ミスはあったにしても、それを碁盤に表現してくれた」と話した。

■50歳「若すぎるか」

 囲碁界にはこれまで、シニア棋戦がなかった。それだけに、誕生を望む声が出ていた。

 大竹理事長は1月下旬の記者発表で、「碁打ちのシニアって何歳からだろうかと、いろんな方々に相談した。(肉体を使うスポーツの)ゴルフが50歳だから、囲碁は50歳では早いんではないかという意見もあった」と出場年齢について悩んだことを明かした。

 現在の七大タイトルは、20、30代が独占している。しかし、趙治勲二十五世本因坊(54)、王立誠九段(52)、小林覚九段(51)はリーグで奮闘中で、ベテラン勢が衰えを感じさせない活躍をしている。

 2月下旬に棋聖戦リーグ入りを決めた小林光一九段(58)は「棋士になって40年以上経つんですね。一生懸命やっていると、いつの間にかこんな年に。年をとった気はしないけれど、立派なシニアなんですね」。

 昨年の世界選手権・富士通杯に出場した石田秀芳(芳夫)二十四世本因坊(62)は「第1回で優勝できなかったら、次回からは辞退しようかというくらいの気持ちで臨みたい」、本因坊戦リーグで久々に雄姿を見せた武宮正樹九段(60)は「ここ数年はダンスに専念してまして、体も頭も相当若返った。僕のためにこの棋戦ができたんだなって思います」と軽妙な口調で優勝宣言をした。(伊藤衆生)

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