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2012年6月12日18時11分
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熱さ若さ 中国に脱帽 囲碁リーグに日本チーム初参加

写真:中国乙級リーグで戦う日本チーム(左側)=8日、中国福建省アモイ市拡大中国乙級リーグで戦う日本チーム(左側)=8日、中国福建省アモイ市

■昇格目指し必死の戦い

 再び世界一の座を取り戻すために――若手を中心とした日本チームが、日本にはないチーム対抗の真剣勝負の場「中国囲碁リーグ」に参戦している。その日本の棋士たちは、若くて層の厚い中国囲碁界の現実を目の当たりにしている。

 中国囲碁リーグは棋士の格付けを決める戦い。上位から甲級、乙級、丙級があり、どのリーグに属するかで棋士の収入も違ってくる。将棋の順位戦は個人戦だから、中国のリーグはむしろ、サッカーJリーグに近い。チームが棋士と個人契約をして給料を支払う。選手のトレードや、外国選手に「助っ人」(各1人のみ)を頼むことも可能だ。

 6日、福建省アモイ市。ホテルの大広間に16チームの64選手が集まり、乙級リーグが開幕した。14日までに全チームが7回戦し(休みは2日間)、甲級に昇格する上位2チーム入りを競う。逆に下位3チームは丙級に降格する。

 対局する選手たちがとにかく若い。現地の囲碁専門記者によれば7割以上は10代〜20代半ばという。大勢の若い棋士たちがチームの昇格のために戦う様は、静寂の中の緊張感とは違う、ほとばしる熱気を感じさせる。囲碁がスポーツに分類される中国だからか、スーツ姿はほとんどいない。同じ柄のポロシャツでそろえたチームや、Tシャツなどの普段着が目立った。

 乙級はいわゆるBクラス。だが今回、「助っ人」として李世●(●は石の下に乙)九段、朴永訓九段、白洪淅九段、姜東潤九段という韓国の世界チャンピオン経験者が主将にずらりと並んだ。韓国棋士を副将に頼むチームもある。韓国勢は一般に、勝った場合にのみ高額の報酬をもらい、負ければゼロという契約だという。

 世界最強の一人ともいわれる李は、甲級から昨年降格した「広西華藍チーム」の助っ人。同チームは建設関係の企業がスポンサーだ。甲級復帰のために、かつては敵だった李と契約した。同チームの周結凝監督は「韓国の助っ人はどこのチームも有名棋士を呼ぶ。経済的負担が大きいが、甲級に上がりたいという気持ちが強いのだと思います。甲級にいれば企業イメージも高まります」と話す。

 中国各地のプロチームに交じり、史上初の外国チームとして参戦しているのが日本の「中日友好チーム」。趙治勲二十五世本因坊(55)、村川大介七段(21)、伊田篤史三段(18)、一力遼二段(15)=開幕時は14歳=の4人だ。

 主将の趙は、「タイトル保持者級」という日本独自の基準で決定。全選手中、断トツの最年長だ。他の3人は、若さでは中国勢に引けをとらないものの、伊田と一力は無名といっていい。あえてトップ棋士は選ばず、将来の日本を見据えた布陣にした。

 記者が同行取材したのは6〜8日の3連戦。結果は1回戦×(0勝4敗)、2回戦×(1勝3敗)、3回戦△(2勝2敗)。リーグ成績は2敗1分けと大きく出遅れた。

 「やはり厳しい」。3連敗の一力の感想だ。一昨年秋に入段したばかりの新鋭は、特に1、2回戦が不本意だったという。「どちらも早々と80手くらいで駄目にした。力を出す前に終わってしまった」。2回戦で日本勢として初勝利を飾った伊田は、3回戦を反省した。「いい碁だったのに勝ちきれなかった。冷静さを欠いた」。中国棋士との対局を重ねた伊田は「みんな強くて、しかも層が厚い。一流棋士が無名の若手に負けてもまったく不思議はないのが中国です」と感じた。

 趙と村川は2連敗後に3回戦でそろって勝利。趙は好局を落とした1局目に続き、勝利目前だった2局目では、最終盤、コウダテをせずにコウを取り返して痛恨の黒星を喫した。「なんてみっともない負け方を」とチームメートの前で激しく嘆いた。若手の中でも注目度の高い村川は「内容的にはまずまず」としながらも「勝てそうな2局を負けてしまった」と悔やんだ。

 苦しみながらも、日本チームには短期的な結果以上に大切な目標がある。中国へ向かう前に「低迷する日本の現状を真摯(しんし)に受け止めなければならない」と語っていた趙は、記者が帰国する直前の10日朝、「中国では、厳しい競争社会のなかで青年たちが熱い戦いをしている。日本も変わってくれるといいね。あんな活気がほしい」と語った。(伊藤衆生)

    ◇

 日本チームはその後、4回戦×(10日)1勝3敗、5回戦×(11日)1勝3敗。リーグ成績は通算4敗1分け。

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