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人々の生活に深く根付いている地域の図書館で最近、便利なサービスが始まった。「ビジネス支援」だ。図書館の持つ情報とネットワークを生かし、ビジネスマンや学生、主婦などに向けて経済に関わる様々な情報の提供や相談をする。無料で本を読んだり、借りたりするだけではない「新しい図書館」。最新の電子ツールを駆使しながら、地域の情報拠点を目指すという。
◆起業や就職の相談も受け付け
図書館がビジネス支援に力を入れ始めたのは、ここ3、4年のことだ。長引く景気低迷もあって、各自治体の図書館に向ける目は厳しい。「文化・教養の拠点」というこれまでのイメージに甘んじていては、予算削減の対象になってしまい、専門職もいらなくなる。関係者は、生き残りをかけて変革案を模索していた。ちょうどそのころ、米国の図書館で行われているビジネス支援が紹介されたのをきっかけに、図書館員の有志らによって「ビジネス支援図書館推進協議会(本部・東京都港区)」が設立された。
「従来の図書館の機能に起業支援などの新たなサービスを加え、ビジネス支援サービスとして利用者にアピールしました。公共図書館という間口の広さと、情報の幅の広さを生かさない手はないと思いました」(ビジネス支援図書館推進協議会・山崎博樹さん)
ビジネスと言っても、企業で働いている人だけが対象というわけではない。
「農業や漁業をしている人をはじめ、自営業、起業希望者、就職活動をしている人、アルバイトやパートタイマーの主婦などもそうです。もちろん株や証券、法律情報に関する相談などもあります。広い意味で、経済にかかわる人や事柄を『ビジネス』としてとらえてもらいたい」(山崎さん)
同協議会は、図書館員やビジネスマンを中心に130人が個人会員として登録しており、モデル事業の展開や講演会などを行っている。協議会の竹内利明会長によると、「ビジネス図書館」を宣言してサービスをしている図書館は01年には数館だったが、現在は25ー26館になっているという。
◆商工会議所と連携し創業セミナー
具体的には、どんなサービスが受けられるのだろうか。
モデル図書館の一つとなった、千葉県・浦安市の浦安市立図書館は、全国に先駆けて2001年から、起業セミナーや相談会を積極的に行っている。実施3年目になる今年は、地元の商工会議所などと連携して「創業支援セミナー」を実施した。受講者は20〜60代と幅広く、最近は女性の姿も目立つという。
「定年後に何かを始めようとする人や、雑貨屋を始めたいという主婦もいます。事業を始めようと決心しても、商工会などにはなかなか行きにくい。だけど、図書館なら気軽でしょう。仕事に役立つ情報提供をもっと考えていきたい」(浦安市立図書館・森田正巳館長)
一方、JR立川駅から徒歩5分という立地から、ビジネスマンによる仕事関連の利用も多い、東京都・立川市の立川中央図書館では、2003年から、市産業振興課と連携し、「ビジネス支援ライブラリー」を設置した。「地域行政資料コーナー」では、市内にある企業の資料やパンフレットを見ることができ、起業情報や起業家支援の資料も豊富にそろう。
◆電子データでより早く的確に
多くの図書館がビジネス支援の一環として強化を進めるのが「レファレンスサービス」だ。情報探しの専門家という意味で、専門職員が利用者の調べ物の手伝いをしてくれる。先の両図書館にも専用カウンターがあり、専門職員も常勤している。
例えば、2002年、立川中央図書館の専門職員は、利用者から「看護婦から看護師に名称がかわる根拠を明らかにしたい」との問い合わせを受けた。まだ法律の施行前だったが、新聞記事のデータベースで「看護師+改正」を検索。見つけた記事を手がかりに、掲載されている官報をすばやく提供することができたという。
「私たちはより早く、的確に、利用者と情報と結びつける手助けをすることを心がけています。インターネットや新聞記事のデータベースを使えば、人が文献を探すより、はるかに早く的確に、要望に応えることができます」(立川中央図書館調査資料係長・斎藤誠一さん)。
立川中央図書館では、市役所各課に「質問受付票」を配布して、職員が行政執行上で必要となる調査・照会業務を行う「庁内レファレンスサービス」を積極的に呼びかけ、市の政策立案のための情報収集の支援もしている。
推進協議会は、ビジネス支援サービスの活動を本格化させる図書館が今後、全国的に増加するとみている。先述の山崎さんはこう話す。
「将来は夜間開館や、SDIサービス(あらかじめ関心があるテーマを登録しておくと新着情報をインターネットで受け取ることができる)、デジタル・レファレンスなども導入できれば、利用者にとって図書館はもっと便利な施設になるでしょう。地域の情報拠点になっていきたいですね」。
(2004/10/20)
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