大学図書館や公共図書館で、実際に「聞蔵」を使われている利用者のみなさんに、活用の仕方をお聞きしました。研究者、学生、図書館司書、ビジネスマン、人の数だけ、利用法が存在します。聞蔵シリーズは、利用者の「ほしい」にピタリとはまる記事データベースです。138年を超える新聞情報の宝庫から、必要な情報がきっと見つかります。

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学生が学ぶ
 

「コンテスト」でDB利用促進
情報リテラシーの向上にも効果

青山学院大学 教育人間科学部准教授 野末 俊比古さん

 いかに有用なデータベースでも、やはり利用してみないとそのよさを実感するのは難しいものです。図書館がデータベースの講習会を開催しても、大勢の学生が参加するとは限りません。ポスターなどで告知しても、なかなか学生が集まるものではありません。一方で、レポート執筆などに必要な情報リテラシーを学生が修得・向上していくには、データベースの活用は不可欠です。データベースについて指導がなされる授業もありますが、すべての学生が受講するわけではありません。

 そこで、本学および女子短期大学の図書館では、データベースを活用したコンテストを企画しました。2012年度から年に一回、開催している「『情報の探索と表現』コンテスト」です。学生が自由に参加・応募できる図書館主催のイベントであり、学生が情報探索やレポート作成の能力を向上させる機会となることをめざしたものです。賞品も用意し、応募の意欲を高め、データベースを利用する動機づけとなることをねらいました。

コンテストの表彰式で講評する野末俊比古准教授

 「コンテスト」の課題は、図書館が契約しているデータベースのうち、指定されたものを用いて、雑誌の記事を作成するというものです。「聞蔵II」も指定のデータベースのひとつとなっています。記事には、データベースに収録されている写真をひとつ以上、用いることになっています。記事のテーマは「日本の知らない世界、世界の知らない日本」ですが、具体的に取り上げるトピックは応募者が自由に決められます。日本語部門のほか、英語で記事を書く英語部門、フランス語で書くフランス語部門もあります。

 また、個人だけでなく、2〜4名のグループでも応募が可能です。記事(作品)の大きさ(ページ数)は、個人部門はA4サイズ1枚、グループ部門は4枚です。なお、雑誌記事をつくる部門のほか、英語ニュースに見出しをつける英語見出し部門もあります(通信社AFPのデータベースを用います)。

 さて、雑誌記事を作成するにあたっては、指定データベースはもとより、文献やウェブなどあらゆる情報源を用いて情報を収集しながら、自身で選択したトピックについて把握・分析し、伝えたい内容を文章にまとめなくてはなりません。当然ながら、文章はオリジナルであることが求められます。また、レイアウトなどのデザイン的な側面も含めて、読み手に伝わる表現力が求められます。文章執筆にあたって引用・参照した文献(出典)を提示したり、写真のクレジットを記載したりするため、著作権についても理解する必要があります。雑誌記事(作品)を作成する過程そのものが学びの機会となっています。

 すべてに独力で取り組まなければならないわけではありません。図書館では、「コンテスト」応募についての説明会や相談会、データベース利用法の講習会を開催しており、学生は自由に参加することができます。もちろん、レファレンスカウンターではいつでも質問・相談をすることができます。

コンテンストを運営する図書館職員(左から西村香さん、武藤郁子さん、佐野仁美さん、山田達二学術情報部長)。手にしているのは受賞作品が収録された冊子。

 「コンテスト」は、データベース提供元をはじめ、関係各社に多大な協力をいただいています。賞品提供のほか、作品審査にも参加いただき、いわゆる冠賞を出していただいています。また、各社の特徴を活かした講演会を開催して登壇いただいています(例えば朝日新聞社さんであれば新聞づくりについて記者のかたにお話しいただく)。講演会は、説明会とあわせて開催することによって、「コンテスト」に直接には関心のない学生でも参加できるようにしています(「コンテスト」に興味を持って応募してくれればもうけものですが、講演会だけ聞いて帰ってもかまいません)。

 また、学内の先生がたには、特に英語部門やフランス語部門を中心に、授業の課題として取り入れてくださったり、作品審査を担当してくださったりと、ご協力をいただいています。英語・フランス語の入賞作品については、ネイティブの先生による添削もお願いしています(この意味では語学の勉強にもなっています)。もちろん、図書館内はもとより、外国語ラボラトリーなど、学内・学院内の協力・理解も不可欠な要素です。

 「コンテスト」によって、学生はデータベースを実際に利用しながら、情報の探索から表現に至る能力、すなわち情報リテラシーを修得・向上させることができます。入賞すれば、“豪華”な賞品が得られるほか、「朝日新聞社賞」などの“名誉”を手にすることもできます。「データベースを知るよい機会となった」「これから利用していきたい」という学生の声がよく寄せられます。図書館としては、学生の能力向上に貢献でき、データベースの利用者数・アクセス数を伸ばすことができます。データベース提供元の各社は、データベースの周知とより深い活用の促進ができます。先生がたは、特に授業の課題として取り入れることで、動機づけを強めながら、授業内容を充実させることができます。

 お陰さまで学内・学院内での認知度も高まり、第5回の2016年度は過去最多の応募数となりました。作品の質も確実に向上しています。「コンテスト」は、学外にも広く知っていただくところとなり、新聞の取材を受けたり、文部科学省の「大学図書館における先進的な取り組みの実践例」に取り上げられたり、図書館総合展のポスターセッションでは最優秀賞をいただいたりしています。他大学の図書館でも同様の取り組みが拡がっていくことを期待しています。

 なお、筆者は、「コンテスト」には、立ち上げからアドバイザーとして関わってきました。ここまで継続できたのは、図書館長の理解のもと、図書館職員・スタッフの皆さんの努力によることを、敬意とともに付記しておきます。

(2017年3月)

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