大学図書館や公共図書館で、実際に「聞蔵」を使われている利用者のみなさんに、活用の仕方をお聞きしました。研究者、学生、図書館司書、ビジネスマン、人の数だけ、利用法が存在します。聞蔵シリーズは、利用者の「ほしい」にピタリとはまる記事データベースです。138年を超える新聞情報の宝庫から、必要な情報がきっと見つかります。

大学図書館で

公共図書館で

学生が学ぶ
 

多様な事実や争点を学ぶ
グループ学習と組み合わせて活用

滋賀県立大学 人間文化学部准教授 丸山 真央さん

 専門分野は社会学、とくに都市や農山村の社会学です。地域社会のさまざまな現実や課題、そこでの争点を知ってもらうために、2年生以上向けの講義で「聞蔵II」を活用しています。

 たとえば、「グローバル化と農山村」というテーマを扱うとき、講義で代表的な議論や視点を紹介したうえで、「聞蔵II」を利用する自習課題を出しています。一例を挙げると、「TPP(環太平洋経済連携協定)への参加問題」を題材として、(1)この問題をとりあげた長めの記事(雑報以外のルポ記事など)をひとつ選んで内容を要約する、(2)この問題に関する賛成・中立・反対などの意見をオピニオン面などから探し出して、それぞれの主張や論拠を整理する、というような課題です。

授業で「聞蔵II」の説明をする丸山真央准教授

 課題はレポートにまとめて、翌週の授業に持参してもらいます。1週間に受講生がいっせいに「聞蔵II」にアクセスするので、「無料短期アクセス貸出」を利用して同時アクセス数を通常の2から50に引き上げてもらっています。

 翌週の授業はグループ学習です。4~6人程度で1グループとして、(3)各自が見つけてきた記事を紹介しあう、(4)整理してきた賛成・中立・反対などの主張をそれぞれ紹介しあう、そのうえで(5)自分の考えを述べあう、というような手順でおこないます。時間があれば、グループごとに意見を整理して発表してもらいます。

 毎回、受講生にコメントを書いてもらっていますが、最も多いのが「いろいろな意見があることを知った」というものです。

 「みんな違う記事を選んできていて、その選んだ観点が違ったところがおもしろいと思った」(3年女子)

 「自分以外の多くの意見を聞くことで、新しい考えが生まれてきたり、逆に納得もしてもらえたりして、おもしろいものになった」(3年男子)

 「私は農業の面からしかTPPをみていなかったので、工業面(自動車産業etc)から考えると、またTPPの見え方も変わるかなと思った」(3年女子)

 学生の多くは、データベースで検索したり、その結果をまとめたりすることには慣れています。その点でこの課題はそれほど厄介でも目新しいものでもないようです。しかし、グループの中で意見交換することによって、それまで自分の考えが平均的あるいは多数派と思っていたのが揺らぐというのは、一種新鮮な経験のようです。都市部の学生は「食品が安くなるなら、TPPはよいのでは」と考えがちですが、農村出身や農家の親戚がいる学生が「農家がつぶれる恐れがあるから、TPPは問題では」と言うのに出あうと、自分の「当たり前」が、同じ学生同士であっても「当たり前」でないのだと知ります。

 情報があふれている今日、多様な事実や意見に触れる機会が多いかといえば、実際はむしろ逆で、自分の好みに合った事実や意見にしか選択的に触れなくなる傾向があると、しばしばいわれます。新聞は、社論はあるものの、ほかのメディアに比べると幅広い意見や立場がとりあげられる媒体です。例で挙げたTPPに関していえば、社説は参加容認の立場でも、地域面などでは参加反対の意見や負の側面を強調している記事がけっこう多く見つかります。

 特定の意見や立場に賛同させるのではなく、多様な事実や意見、立場があることを知ったうえで、自分なりの意見と論理を作ってもらうことをめざして、授業をおこなっています。ですので、データベースでの検索だけでなく、事後のグループ学習を組み合わせることで、より大きな効果が得られます。

 他紙の記事検索データベースもあわせて活用すれば、触れる意見や立場の幅はさらに広がるでしょうし、メディアリテラシーを学ぶ機会にもなるだろうと思います。発想次第で授業での「聞蔵II」の活用法はもっと広がるのではないかと考えています。

(2017年3月)

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