Top
朝日新聞社 www.asahi.com ENGLISH
asahi.com
home  > 国際  > AAN  > 

The Asahi Shimbun Asia Network
 ホーム | 今週のコラム | AAN発 | 年間リポート | アジア人記者の目 | リンク | English
今週のコラム
アジアと欧米の識者による様々な立場からの意見です
アジアに連なる沖縄の歴史
バクティアル・アラム
インドネシア大学日本研究センター所長

 私は社会人類学者としてインドネシア大学で日本の社会・文化について講義しているが、日本社会とその文化を理解するには沖縄を知る必要があると考えている。日本文化の「単一性」は支配的な言説の一つではあっても、それがすべてではない。学生たちには最初に、沖縄文化の視点を見落としてはいけないと話すことにしている。

 つい最近まで、インドネシアにおける沖縄の認識は極めて浅かった。2年前、インドネシア語で書かれた日本の習俗に関する本が、ジャカルタで出版された。その本には簡単な日本地図が挿入されていたのに、なぜか沖縄が抜け落ちていた。

 沖縄が日本列島の南端に位置する小さな島にすぎなくても、それが日本地図から抜けていることの重要性を、インドネシアの知識人たちですら気にとめなかったようだ。私は出版記念会の席でこの問題に触れ、「それは東ティモールが入っていないインドネシア地図のようなものだ」と指摘した。笑いの渦が起きたが、参加者たちはすぐに重要性を理解してくれた。

 最近になって、東南アジアの社会科学者たちの間で沖縄への関心が少しずつ高まっている。琉球大学とインドネシア大学、タイのチュラロンコン大学との間で現在、「沖縄、タイ、インドネシアにおける市民社会の創出」というテーマの共同研究が行われているのは、一例だ。昨年末には、フィリピンのラサール大学から、「フィリピンとインドネシアにおける沖縄移民の比較調査」の誘いがあった。ただ、インドネシアには沖縄からの移民はほとんどいないため、見送られたのだが。

 日本という民族国家への同化と自立の間で苦渋の道を歩んだ沖縄の歴史は、いま東南アジアで起きている様々な民族問題と共通する問題をはらんでいる。東南アジア諸国の多くは、かつて欧米の植民地支配を体験し、独立後も自立と民主化の実現という課題を抱えてきた。

 一方の沖縄も、明治政府の琉球処分を受け、太平洋戦争では戦火に巻き込まれ、さらには戦後の米国統治と復帰後の米軍基地問題などと格闘してきた。沖縄は、東南アジアの歴史体験に共通する民族国家の様々な矛盾と向き合ってきたのである。

 その沖縄で7月に主要国首脳会議(サミット)が開かれる。IT(情報通信技術)の問題なども重要ではあるが、東南アジア諸国が直面している経済問題や人権・環境問題などでも主要国の首脳の間に共通認識が広がることを期待したい。

 アジア世界の海へとつながる位置にある沖縄が、21世紀の日本とアジアを結ぶ懸け橋になってほしいと思う。

2000年6月19日
▼バックナンバーへ

Homeへ | 画面上へ