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今週のコラム
アジアと欧米の識者による様々な立場からの意見です
国交30年、相互理解は途上
ボルジギン・ブレンサイン
早稲田大学モンゴル研究所客員研究員
(中国・内モンゴル自治区)

 モンゴル(内モンゴルでなく、モンゴル国の方)のジョークを一つ。

 日本人相手に「モンゴルで自分の羊を飼おう」と羊を売り、代金と引き換えにまず写真だけを送る商売があった。本人がモンゴルを訪れた時に実物を渡すという。ある男が知人の羊を片っ端から写真に収め、日本に送り代金を取っていた。送られた写真を毎日眺めていた日本女性がついに羊を見にモンゴルに渡った。慌てた「羊売り」は知り合いの群れから手当たり次第に羊を捕まえて見せたが、彼女は写真と違うという。どうしても写真に収められている自分の羊をと求め、ついにトラブルに発展した。

 これがなぜジョークなのか。羊に対するモンゴル人と日本人の考え方が違うのだ。牧畜民であるモンゴル人にとって羊は財産という意味合いが大きく、暮らしそのものである。一方、日本人の多くは羊を可愛いペットだと思っている。モンゴル人から見ると写真の羊に愛情を寄せ、半年間も眺め続けていた日本人が不思議に思われたに違いない。

 今年は両国の国交30周年である。大相撲では大関に昇進した朝青龍をはじめ、旭鷲山、旭天鵬ら二十数人のモンゴル人力士が活躍しており、モンゴルの若者にとって日本は「相撲ドリーム」の地となっている。一方、モンゴルを観光で訪れる外国人の中で日本人が最も多い。モンゴルにとって日本は最大の援助国で、民主化を最大限に応援し、数回のモンゴル支援国会合は日本の主導で開かれた。

 しかし、日本人は遊牧と大草原というロマンにあこがれ、遊牧民の苦しさ、遊牧国家モンゴルの真の痛みを理解しようとする姿勢に乏しい。戦前、内モンゴルを通じて蓄積された深い理解も今はない。一方、アジアと正面からつきあいだしてまだ10年余りのモンゴルの人々にとって日本は長い間、遠い西側の国であった。70年間ロシアの経済援助に頼ってきたモンゴルはつい経済援助というまなざしでのみ日本を見がちだ。

 相互理解となると、国交30年の年月にふさわしい中身がまだまだ伴っていないような気がしてならない。

2002年7月26日
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