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今週のコラム
アジアと欧米の識者による様々な立場からの意見です
北東アジア安定の一里塚
ブルース・カミングス
シカゴ大教授(米国)

 日朝首脳会談は、日米関係や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の改革、金大中・韓国大統領の包容政策(太陽政策)にとって、歴史的な分水嶺(ぶんすいれい)になるかもしれない。交渉が前進すれば、北東アジアの平和への一里塚として歴史に刻まれるだろう。

 北朝鮮による残忍な日本人拉致が明らかになり、日本国民の目を奪っていることは十分理解できる。しかし、金正日総書記が拉致を認めたことは前代未聞だ。北朝鮮はこれまで、自分が絶対に正しく、外の世界が間違っていると主張してきた。そのトップが拉致を認めたことは国全体がメンツを失ったということだ。植民地支配に対する日本の謝罪が会談の鍵になるとみていた事前の観測は吹き飛んだ。

 金大統領の太陽政策にも大きな支援となった。この政策はすでに死んだも同然とみられていた。しかし、4月に大統領特別補佐役の林東源氏が平壌を訪れ、状況が動き始めた。米国は大量破壊兵器の拡散を防ぐため軍事力に訴える構えで、北朝鮮もその標的の一つであることを理解すべきだ、とのメッセージを金総書記に伝えたのである。

 まもなく北朝鮮は韓国との会談に復帰。夏にはロシアのプーチン大統領も、金総書記に南北縦断鉄道建設の合意を説いた。小泉訪朝は、包容政策の復活をめざす一連の動きの頂点に位置するものだった。

 米国だけが、この動きの中で消極的だ。日本外交の成功はブッシュ政権には、むしろ問題だった。米政府高官は「悪の枢軸」に属する体制から外交で何かを達成できるとは思っていない。日本との不協和を見せないよう米国は日朝会談に同意したふりをしている。

 しかし、小泉首相がブッシュ政権の危険な先制攻撃ドクトリンや、半世紀にわたる日米の緊密な政策調整から距離を取り始めたことはあきらかだ。ワシントンに異を唱え、朝鮮半島に永続的な平和をもたらす困難な仕事に息を吹き込む任務を引き受けたといえる。

2002年9月27日
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