改革開放以来の四半世紀に来日した「新華僑華人」は35万人。いま両極化し、岐路に立っている。
包丁やはさみを手にコックや理髪師、裁縫師として生き抜いた年配の華僑華人と違って、新世代のほとんどは日本留学歴または就学歴の持ち主。ビジネス以外の分野でも存在感を増している。
中でも、大学、研究機関で教授、助教授を務める約1000人の活動が目立つ。博士号をもつ高学歴者で、日本語で本を書く。著名な賞を受けた者も少なくない。
IT、ハイテクの開発にも不可欠な人材だ。ここ数年、IT人材の日本への大量流出があり、中国側が危機感を抱いているほどだ。
新華僑華人社会のマスコミも活発だ。CCTV大富、楽楽チャイナ、中文導報、東方時報などは、在日中国人の日常生活に欠かせない存在。女子十二楽坊の活躍は、日本で中国伝統民楽の旋風を巻き起こした。
しかし、華僑華人社会は現在、深刻な問題を抱えている。90年代以来、在日中国人の犯罪が増え、かつ凶悪化しつつある。マフィアの殺し合い、蛇頭の密航、地下銀行の不正送金、住宅街を狙う窃盗団など、枚挙にいとまがない。最近は20代の留学生・就学生の悪質犯罪が際立つ。大分の「留学生の父」殺害、今年6月の福岡一家4人惨殺事件への関与などだ。
後を絶たない犯罪は、在日中国人の名誉を著しく損なっただけでなく、日本国民と在日外国住民の平和な生活を脅かしている。
かつて留学生は、来日のために厳しい選考を突破しなければならなかった。だが、バブル崩壊後、定員割れの補充、10人留学生目標の達成などで容易に来日できるようになった中国人留学生・就学生10万以上の一部は、学習の目標を失い、「淘金(タオジン)」(金もうけをたくらむ)の下心を持ち始め、拝金主義へ落ちてしまった。20代の学生は「徳育」をきちんと受けていない。経済成長の落とし穴というべきか。
統計によると、罪を犯した在日外国人検挙者の5割弱は中国国籍で、その3割以上は留学生・就学生だ。中国関係当局は、日本側と緊密に連携して真剣に対処しなければならない。在日新華僑華人も立ち上がるべき時だ。大学で教鞭(きょうべん)をとっている教師は、後輩に留学の動機をあらためて認識させ、時には彼らの心のケア、道徳教育を担う責任があるだろう。
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筆者の横顔:山西省生れ。一橋大大学院で日中関係を研究。宇都宮大外国人教師などを経て現職。『転換期の中国・日本と台湾』で大平正芳賞受賞。41歳。