「道を尋ねようと交番に立ち寄ったら、警察官にかばんの中身まで調べられ、外国人登録証のコピーを取られた」
「自転車に乗っていて職務質問を受けた際、ボディーチェックされポケットの中まで身体検査をされた」
私たちの留学生相談室には、在日留学生から、人権侵害にあたると思われるような事例がいくつも寄せられている。度重なる外国人犯罪報道の影響か、外国人だからしょうがないと済ませられてしまいそうな風潮がある。アジアの国際交流の将来を考えると、私はこの風潮を悲しみ、恐れる。
最近、私は会う人ごとに外国人の犯罪率がどのぐらいだと思うか聞いているが、中には「50%以上」、遠慮しながら「30%」という人もいる。事実はどうか。
3月に警察庁が発表した犯罪統計によれば、昨年1年間の全刑法犯罪検挙者数は約38万人。このうち外国人は約8700人で、実際は2・3%。検挙件数では4・2%である。同資料によると、ここ10間の外国人刑法犯検挙人員の割合は2%前後で、ほとんど変化していないということも見て取れる。
各マスコミでは留学生、就学生の摘発件数が5年前の2・4倍に増加などと一様に取り上げているが、全刑法犯検挙者約38万人の中でみれば在留資格が留学・就学の者の検挙者数はそれぞれ約1200人で、割合は各0・3%だ。また、この5年間に、留学生数自体が5万1千人から11万人に急増、就学生数も1万7千人増えているが、この事実に触れたマスコミは、私の知る限り、なかった。
外国人不法残留者の増加が日本の治安悪化の最大の原因という報道のされ方もよく目にする。しかし、法務省統計によれば93年には30万人ほどであった不法残留者数は03年には22万人まで減少している。昨年の外国人刑法犯検挙者数約8700人の内訳では、不法滞在者は1500人と、17%であり、83%は正規滞在者である。「外国人不法滞在者を取り締まれば、日本の治安が回復する」という論理は、少なくともこのデータからは成り立たない。
私は、外国人犯罪を取り締まらなくてよいなどというつもりは毛頭無い。しかし、当局の発表のしかたやマスコミのデータの切り盛り次第で世論がある一定の方向へ流されるとすれば、憂うべき事態といわざるを得ない。
留学生は「未来からの大使」「世界への架け橋」とは文科省の標語であった。実際、彼らは日本の良さを必死になって学ぼうとする若者たちである。この際、留学生受け入れの目的はなんであったか。本来の姿はどうあるべきか。客観的なデータをもとにいま一度、冷静に議論しなければならないと思う。
2004年6月5日