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 コラム・時評
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インドネシア大統領選 民主主義の成熟が政党連合を凌駕
バクティアル・アラム
インドネシア大学日本研究センター所長

バクティアル・アラム

9月20日、インドネシア史上初の直接投票による大統領選の決選投票が行われ、有権者約1億5300万人のうち推定4人に3人がアチェからパプアまでの約57万の投票所で一票を投じた。

4月の国民議会選挙と7月の大統領選・第1回目の投票と比べて、今回の決選投票の開票作業は極めて順調に進み、開票からほぼ48時間後の22日午後2時過ぎに総選挙委員会 は約63%の集計率を達成し、両候補の得票率はスシロ・バンバン・ユドヨノ元政治治安担当調整相が61 %、メガワティ・スカルノプトリ大統領が39%で、ユドヨノ候補の大 勝がほぼ確定した。

現職の大統領として今回の選挙に臨んだメガワティ候補は、自らが党首を務める闘 争民主党の他にも、今年の国民議会選挙で第1党に返り咲いたスハルト政権時代の与 党・ゴルカル党および第4党になったイスラム政党・開発統一党といった主要3政党、 さらにはキリスト教系の福祉平和党などの4政党、合計7政党の支持を受け、大量の組 織票を手に入れたとの印象が強かったが、選挙結果からは、有権者が支持政党にとら われず、昨年来、複数の世論調査で「次期大統領として好ましい人物」に選ばれたユ ドヨノ候補を選択したことが明らかになった。

ユドヨノ氏が国軍出身でありながらも、これほどの人気を獲得した背景には、彼が 国軍の政治機能の段階的廃止を支持し、地域紛争についても常に対話路線を重視する 姿勢を示してきた事実がある。

反対に、メガワティ大統領の場合、スハルト政権時代末期の1990年代中旬に改革の旗手として登場したにもかかわらず、その後の彼女のリーダーシップのもとでは腐敗 政治の一掃や国民生活の改善といった改革の最重要課題がなおざりになったとの印象 が強く、今回の予期せぬ大敗に至ったと見られる。

もちろん、汚職・癒着構造の撲滅、経済再建、さらにはテロ対策の強化といった現 在のインドネシアが抱える数多くの難題がユドヨノ新大統領のもとで早急に解決され るとは予見しがたいが、少なくとも新政権のもとでこれらの問題の解決のためのより 強力なコミットメントが発揮されることが期待されている。

このような意味で、今回の選挙において大半の国民が既存政党による組織票 の動員 に応ぜず、むしろユドヨノ候補の個人的資質を優先したことは、単なる「個人の人気」 の勝利というよりも、この国における民主主義の成熟と解釈する方が妥当だろう。

2004年9月30日
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