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 コラム・時評
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日中韓 ナショナリズムは時代遅れ

林 泉忠
琉球大学助教授(国際政治学)

林 泉忠

20世紀前半は、東アジアでも血で血を洗うナショナリズムの時代だった。「最も優秀な民族」を自任した日本は大軍を海外に送り、侵された側は「民族の存亡」を懸けて抵抗した。多大な人命が失われた。

戦火がやみ、人類は教訓を得たはずであった。しかしながら、戦後60年を迎えた東アジアでは、靖国参拝など「歴史認識」をめぐって再びナショナリズムの応酬が激しくなっている。

今春、中国で起きた反日デモは十数万人、日中戦争以来最大規模だった。一部のデモ隊の過激な行動は日本のテレビで繰り返し放映され「失われた10年」後の日本社会に「国民結束」の材料を提供した。書店には「嫌中」本が山積みだ。韓国にも中国にもナショナリズムの火種は多い。

確かに、近代ナショナリズムの誕生は自由と平等を掲げる市民社会と国家建設に貢献してきた。だが裏には排他性と唯我独尊の顔がつきまとう。

ナショナリズムの元祖ヨーロッパでは、欧州連合(EU)という形で、近代国家の二つの顔である「主権」と「国民」の歴史的使命を自ら終結させようとしている。半世紀を超える平和な時代が続き、時期の差はあるが、日中韓もそれぞれ「立派な国民国家」になった東アジアでも21世紀のビジョンとして経済統合から「共同体」への道が議論されるようになった。

その流れに水を差すナショナリズムの台頭、「反日」対「嫌中」「嫌韓」の蔓延は国の境を超えて真剣に憂慮しなければならない問題だ。相互の不信感の解消にも、「東アジア共同体」への展望にも、マイナスの役割しか果たさないことは明らかだ。

自信のない為政者はしばしばナショナリズムを煽り立て、煙幕にする。しかし、ナショナリズムは理性の制御から飛び出し、独りよがりの愚行に陥りやすいことも経験が示している。

21世紀を生き抜くには、劇薬に溺れず、理性と国際社会共通の「正義」を基準にして歴史問題などに取り組む努力が必要だ。なのに依然として、視野狭窄につながりかねないナショナリズムの応酬に熱中している東アジア。いまこそ「ナショナリズム不要論」を提唱したい。 (香港出身)

2005年 10月22日
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