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 コラム・時評
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岐路の台湾 総統の権威、親族の疑惑で失墜


張 瑞昌(チャン・ジュイチャン)
中国時報副総編集〈台湾〉

張

台湾が歴史的な岐路に立っている。陳水扁(チェンショイピエン)総統の娘婿の株式インサイダー取引疑惑をきっかけに、台湾政治史上初の総統罷免案が立法院(国会)で採決されるなど、逆巻く大波のように政局が揺れ動き、先行き不透明になってきた。

政局の鍵を握るのは、最大野党の国民党などの相次ぐ抗議集会ではなく、総統に対して日増しに高まっている人々の不信感だ。何が真実か一般庶民にはよく分からない金銭疑惑は、伝統的な南北間の対抗感情や、台湾出身か中国大陸出身かで大きく異なる意識の違いを飛び越えて、陳総統の信頼と権威を直撃、陳政権の政治基盤を大きく損なってしまった。

とはいえ、与党の支持率低下がそのまま野党の利益になったというわけでもない。野党陣営は街頭運動の経験が浅く、総統府前での抗議集会も迫力を欠いた。馬英九(マーインチウ)・国民党主席、宋楚瑜(ソンチューユイ)・親民党主席および王金平(ワンチンピン)・立法院院長ら野党指導者はそれぞれの政治的思惑からバラバラに動いて、戦闘力を弱めた。

野党陣営と与党陣営が対決した総統罷免案は、国際的な注目の中、必要な3分の2の賛成が得られず否決されたが、陳総統の威信は跡形もなく消え去ってしまった。陳総統はすでに「死に体」、その政権の権威は有名無実といって過言でなくなった。

総統の任期は残り2年ほどだが、今回の政治スキャンダルは、陳総統の権威を大きく傷つけただけではなく、蘇貞昌(スーチェンチャン)・行政院長、游錫コン(ユーシークン)・民進党主席ら「ポスト陳水扁」を争う与党陣営候補の勢いもそぎ取った。対して、馬氏が率いる国民党は、来年の立法院選挙と再来年の総統選挙に勝つ可能性が現時点では高まったと見られる。こうした状況をにらんで民進党の対中国政策も融和色を強めざるを得ない情勢だ。

陳総統は台湾の民主発展の起伏とともに歩んできた。民意を代表する旋風を巻き起こし、民進党を指導して権力のピークに達したが、金銭疑惑のため政治の津波に巻き込まれて、民進党の権威を失墜させた。かつての国民党政権と比べて清廉さを自ら誇った陳氏だが、いまや民進党政権を倒す最後の稲わらに。なんとも皮肉なことだ。

2006年 7月8日
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