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 コラム・時評
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中東危機 東アジアへも悪影響


キム・ベン・ファー
マレーシア戦略国際問題研究所客員研究員

キム

イスラエルのレバノン攻撃で中東の危機が深まっているが、日本、韓国、台湾、シンガポールといった東アジア主要経済の市場と政策動向を見る限り、中東危機などどこ吹く風とばかりに反応が鈍い。

攻撃は短期日で終わるとか、表向きの強硬姿勢とは裏腹にイスラエルが捕虜・人質交換に応じるとの楽観論がある。オイルショックは例外として、中東の事件が東アジアを明白に直撃したことはこれまでなかった。縁遠い存在と思うのも無理からぬところがある。

しかし、全く無関係と断じるのは大きな間違いだ。イスラム地域を持つ中国、ロシアはもちろん、東南アジアには、イスラム教徒中心のインドネシアとマレーシア、少数派ながらイスラム人口を抱えるタイとフィリピンがある。過去40年を振り返ると、中東での出来事の余波がこれらの国々にもじわりと押し寄せ、人々の、とりわけイスラム教徒の思考と価値観に大きな影響を与えてきたことは動かしがたい現実なのだ。

イスラム運動の急進化は、イスラエルがアラブ諸国軍を打ち破り、領土を大きく拡張した67年の6日戦争がきっかけの一つだった。以来、エルサレムにあるイスラム第3の聖地アルアクサ・モスク放火事件(69年)、イランのパーレビ国王を追放したイスラム革命(79年)、79年のソ連の軍事介入で始まったアフガニスタン内戦など、節目節目の出来事がアジアのイスラム指導者や学生たちを興奮させた。その結果の一つが、アフガンから帰還した戦士がマレーシアやインドネシアに持ち込んで育てた「ジェマー・イスラミア」などの過激派だ。

こうした流れで見ると、つまるところ、中東の不安定化は東アジアにも大きな悪影響をもたらす。中東での戦火と闘争が、東アジアのイスラム信仰をゆがめ、人々を聖戦へと駆り立て、イスラムの政治教義を戦闘的にする傾向がある。中東での暴力と軍国主義に対して手をこまぬいていると、「抑圧・圧政から自由になるためには、実力行使も善であり必要だ」という考え方をイスラム教徒に吹き込むことになりかねない。暴力の応酬と連鎖反応を一刻も早く押しとどめる努力が今こそ求められている。

2006年 7月22日
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