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日本語熱 海外普及に戦略的対応を
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李 鋼哲(リ・コウテツ)
総合開発研究機構〈NIRA〉主任研究員
私は8月半ば、中国東北の延辺朝鮮族自治州に里帰りした際、日本留学経験のある大学教授から「州都の延吉の日本語教育が危機に瀕(ひん)している」と聞いた。市内の中学10校の新規日本語クラスが今年ついにゼロになったと市教育局長はいう。10年ほど前まで、市内中学の第1外国語は9割以上が日本語だった。様変わりで、寂しい話である。
当局は生徒にとってマイナスと、日本語選択の生徒をなんとか確保しようとしたが、応募者はわずか十数人。やむを得ずクラスの開設をあきらめたという。隣の龍井市の教育局長からも同じような話を聞いた。
朝鮮族が日本語を選択した場合、英語選択の生徒と比べ大学受験で得点が平均20ポイント高く、朝鮮族の大学入学率は中国でトップ級。日本語は文法的に朝鮮語に近いうえ、中国語も必須だから漢字のメリットも享受できるからだ。
朝鮮語と中国語に加えて日本語も駆使できれば、東アジアの15億人と言葉が通じ合う。中国に進出した日本企業でも朝鮮族は高給取りという。推計約5万人を数える朝鮮族の若者が留学や就職で来日しているのも、日本語力ゆえである。
では、なぜ日本語離れが起きているのか。グローバル化の影響で、「英語が世界共通語」との認識が朝鮮族の中でも広がっていることとともに、日本の国力の相対的な低下を感じ取っている面もあるようだ。
とはいえ、日本はまだまだ世界2位の経済大国であり、東アジア経済の中でその存在感は絶大だ。英語を選択した人でも、日本語ができる人材の需要が大きいため、改めて日本語の勉強に取り組む事例も多い。
中国における日本語学習の本場、延辺での日本語離れは日本にとってよそ事ではない。日本語ができる外国人は、日本の国力の延長線での貴重な資源であるだけでなく、国際社会における存在感を高めるための懸け橋である。日本の政府、財界が協力して戦略的に対応し、海外の日本語教育を支援すべきだろう。
中国政府は中国語学習の機関「孔子学院」を海外各地に続々と開設している。こうした例も参考にして、日本も負けずに日本語や文化の普及にもっと力を入れてはどうだろうか。
2006年 9月16日 |
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