現在位置 : asahi.com > 国際 > AAN ここから本文エリア

The Asahi Shimbun Asia Network

 ホーム | 一線から | コラム | アジア人記者の目 | AAN発 | 書評 | リンク | English
 コラム・時評
内外の識者による様々な立場からの意見です

北朝鮮問題 「包容政策」にムチが必要


李 鍾カク(イ・ジョンガク)
中央大講師<韓国現代史>

李

 北朝鮮が演出する「核実験」と6者協議復帰など一連の騒動で、一番損したのはどの国か。残念ながら、わが韓国だと思う。

 中国は北朝鮮を6者協議に復帰させる影響力を、米国は金融制裁継続などの原則を守りながら北朝鮮を協議の席に引き出す成果を、また日本も独自の制裁実施に加えて、タブー視されてきた核論議まで公然化させるなど、それぞれ実利や名分を得た。北朝鮮も核保有国クラブの一員を自任し、ある意味では一番大きな「成果」をあげた。

 韓国政府はどうか。金大中(キムデジュン)政権以来、北との融和・協調の包容(太陽)政策を進め、国内経済の混迷にもかかわらず巨額の現金(野党によると、98年からの累計9億ドル余り)を提供するなど有力な支援国になってきた。しかし、同族の温情に北は「核パンチ」で応えた。「片思い」だった韓国は、相手に完全に無視され、翻弄(ほんろう)された格好だ。

 包容政策は、いま韓国内で集中砲火を浴びている。食糧難など悪政に苦しむ北の同族のための包容政策が、独裁政権の延命と核実験に悪用された。核実験直後のある世論調査では、65%が包容政策は失敗に終わったと答えた。経済や人道面の協力も見直すべきだとの回答も75%を上回った。

 これに対し、包容政策の創始者である金大中前大統領は老齢にもかかわらず連日、各地での講演会で「包容政策は韓半島安定に寄与した」「核実験は包容政策の失敗ではなくて米国の責任だ」と、対北非難よりも対米批判に熱心だ。

 また、「核実験で、包容政策を再検討せざるを得なくなった」と一時は揺れていた盧武鉉(ノムヒョン)大統領も、金氏の説得で姿勢を変え、今月初めの演説では包容政策の継続推進を唱え、次の政権も包容政策を続けざるを得ないと主張している。

 60年代末、北朝鮮の特殊部隊による大統領府奇襲事件で命を狙われた当時の朴正熙(パクチョンヒ)大統領は「狂った犬には棒しかない」といった。「朝鮮戦争以来のもっとも大きな危機」(金泳三(キムヨンサム)元大統領)である核実験が行われた今回こそ、「棒」でなくても「ムチ」が必要だろう。韓国は、次の6者協議などで北朝鮮に「核廃棄なしには包容もない」との立場を明確にすべきだ。

2006年11月18日
▼バックナンバーへ

∧このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。 Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.