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 コラム・時評
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中国 「和諧」の調和哲学で存在感


劉 傑(リュウ・ジェ)
早稲田大教授<日中関係史>
米コロンビア大客員研究員

劉

フィリピンで今月開かれた東アジアサミット、日中韓首脳会談で、中国の積極的な近隣外交が際立った。安倍首相の訪中・訪韓で日中韓のシコリがほぐれたことにも助けられたが、中国の攻めの姿勢には将来の「民主化」と「大国化」をにらんだ中国流のソフトパワー発信が見て取れた。

米ジョンズ・ホプキンス大学のデビット・ランプトン教授によると、米国は中国の輸出力を過大評価する半面、巨大市場としての輸入力を過小評価する傾向がある。教授は、同時に、軍事力の増大を過大評価する半面、グローバルなコミュニケーション・システムの構築や世界規模の中国語教育ネットワークの整備、相手国の状況を熟知し高度な語学力を有する外交官の活躍など中国のソフトパワーの影響力を過小評価していると指摘した。地球上にあふれているメード・イン・チャイナに目を奪われている間に、中国がソフトパワーを頼りに21世紀の大国をめざしていることに、世界はいまだ明確に気づいていないというのだ。

胡錦濤指導部が経済成長に伴う経済格差の拡大や環境破壊の問題に対処するために掲げた目標は「和諧(わかい)社会」(調和のとれた社会)の建設だ。今やこの理念を周辺諸国との関係にも拡大して、調和のとれた近隣関係を構築することが中国外交政策の重要な部分となっている。対日政策もこの路線にそって転換したのだろう。北京の清華大学の胡鞍鋼教授は「和諧の哲学こそ中国最大のソフトパワー」と言い切っている。

中国は最近「和平崛起」(平和的台頭)よりも、もっと温和な「和平発展」を多く用いる。米国や周辺諸国にくすぶる中国脅威論を少しでも和らげるために考案された表現だ。2年前の「反日デモ」のような過度なナショナリズムが中国脅威論を助長したことを踏まえてのことだろう。

米ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長は、日中間対立の中心にあるのは両国のナショナリズムだというが、民主と法治、貧富格差の縮小、社会の安定などの具体的な目標を掲げている「和諧」の理念には、中国に広がる偏狭なナショナリズムへの自制を求めるメッセージも込められているに違いない。

2007年 1月27日
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