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 研究拝見
AANのOBを中心にアジア関連の最近の研究を紹介します
「アジア共生学会」を立ち上げて
小林 慶二
アジア共生学会会長(元九州国際大学教授)

小林慶二
こばやし・けいじ 朝日新聞カイロ特派員、ソウル支局長、九州国際大学教授を経て、今春から九州国際大学文化交流センター顧問、アジア共生学会会長。

1972年ローマクラブが、急速な経済発展が地球の資源食いつぶしをもたらすと警告して以来、地球の持続的発展のためには何をすべきかという議論がさまざまな国々の間で、国際機関、組織で論議されてきました。しかし、たとえば、その成果の一つである大気汚染を阻止するための「京都議定書」は、米国などが批准を拒み実践に至っていません。総論は賛成だが、各国の利害が絡む各論に入ると足並みが乱れてしまいます。これでは地球は破滅に向かうのは確実です。それを救う道はあるのか。

私は大学で9年間「アジア概論」という講義をしてきました。そして20世紀はどのような世紀で、21世紀はどうあるべきかを自分なりに考えてきました。20世紀は近代科学が最も急速に発展した世紀で、人類に巨大な富をもたらしました。しかし、第一次、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争など20世紀ほど多くの人間を殺し、傷つけた世紀はありません。これほど大規模な自然破壊を行った世紀もなかったと思います。21世紀は当然、前世紀で行った自然破壊を、多くの人命を奪った戦争をなくし、地球を、人類を癒す時代にしなければなりません。

私はそうした変化のキーワードは「共生」ではないかと考えました。20世紀の「共存共栄」から21世紀には「共生」を目指す社会を作りあげなければならない。でも「共生」は流行語になってはいるが、共生の定義は何か、どうすれば共生できるのか、については議論が始まったばかりで、結論は出ていません。多くの人が、それぞれの概念、考え方で「共生」を語っているだけです。

私は、「共生」の考え方の基本の一つは「惻隠の情」ではないかと思っています。つまり貧しい人たち、弱い人たちに対する思いやり、自分をある程度犠牲にしてもそれらの人々と助け合う心、現代社会で最も希薄になった人情の復活などなど、あまり学問的な言い方ではありませんが、そんな気がします。

本学会では、まず皆なが「共生」と考えることを実行し、それを踏まえて議論を重ね、「共生」の原理を、理念を見つけ出し、行動方針をつくりあげていきたいと思っています。「そんなものは学会ではない」という批判もありましたが、多くの人たちが賛同して下さり、学会は発足をしました。まず多くの人たちに「共生」に関心を持っていただくために創立記念連続講演会を開催しました。4月は村山富市・元首相、5月は柳井俊二・元駐米大使、6月には権オギ・元東亜日報社長、7月には朱建栄・日本華人教授会議代表をそれぞれお招きして講演会を開きました。4人の講師はいずれも本学会の重要性を強調すると共に、学会が今後、「共生」に関し、政府や一般社会に向けさまざまな提言をしていくことに期待を表明していました。
(講演の詳細などこれまでの活動については学会のホームページをご覧下さい http://www.asiakyousei.jp)

現在、登録会員は学者、ビジネスマン、公務員、主婦、学生など80人余。中国、朝鮮半島などの地域部会、東京、大阪などの地域部会、ビジネス、ジェンダー、ITなどの専門部会等々18の部会が発足しました。8、9月は講演会を休み、会員募集、部会の組織化、研究活動の計画立案などに重点を置いた活動をする予定です。

今後の活動については、10月に設立総会、記念シンポジウムを開くほか講演会も継続していく予定です。設立記念シンポジウムには講師としてフィリピンのラモス元大統領を招く計画で交渉を始めました。「共生」の大きな軸である環境問題については、小池百合子環境大臣をお招きしたいと考え、お願いしています。

来年3月には学会のシンポジウムを開き、1年間の成果をまとめる方針で準備をすすめています。各部会の活動、研究成果、今後の実行計画などの報告を受け、学会の提言をまとめる予定です。また「共生」の輪を広げるため、今年度中に韓国、中国などに同様の学会を作っていただき、来年度はアジア諸国の学会も参加するシンポジウムを開催する計画です。これは、一国の学会ではアジアを動かす力にならないと考えたためで、10年、20年後にはアジア各国に「共生学会」が生まれ、アジアへ、世界へ、「共生」に関する様々な情報、提言を発信し、「アジアのローマクラブ」としての役割を果たしていきたいと考えております。皆さんのご協力、ご支援をお願い致します。


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