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 研究拝見
AANのOBを中心にアジア関連の最近の研究を紹介します

大学の現場から外国人学生受け入れについて提言

大塚晶
   04年度AAN研究チーム主査

日本の留学生受け入れ10万人計画は03年に達成され、一般には「成功」とみなされている。だが、本当にそうか。教育政策の面からみれば、むしろ「失敗」、いや「破綻」なのではないか――。こんな問題意識のもと、大学や民間団体などで外国人学生の相談を担っている担当者らが05年3月、外国人学生の受け入れをめぐって「現場」ならではの提言をつくった。より学生の側に立ち、さらには日本として外国人全体の受け入れをどうするかといった観点から改善策を打ち出しているのが特徴だ。

提言をまとめたのは、03年11月に設立された「外国人学生問題研究会」(SISA。世話人=白石勝己・アジア学生文化協会理事、栖原暁・東京大教授ら)。大学や日本語学校、民間団体の外国人学生相談の担当者19人でつくっている。

SISAが10万人計画を一面では「破綻」というのは、(1)文科省の中央教育審議会が今後の受け入れについて消極的にみえること(2)入国管理局による審査が再び厳格化していること(3)警察による外国人取り締まりの強化により、留学生らが警察署で長時間尋問を受けることが少なくないこと(4)メディアの「留学生・就学生=犯罪予備軍」キャンペーンとそれに基づく世論の排外的風潮の助長、といった現状が、10万人という目標を達成したがゆえに起きてきたとも見えるからだ。

提言の内容は10項目。留学情報の提供や日本語学校、日本留学試験の改革、入管の入国・在留審査、大学などでの受け入れ体制といった制度面のほか、アルバイトや住宅探しなどの日々の生活や就職面にいたるまで、多岐にわたり具体的に述べている。ほんの一部を挙げると、以下のようなものだ。

▽入管による経費支弁能力の審査や成績、出席率の審査を廃止し、大学夜間部への入学にも「留学」の在留資格を認めるなど一層の受け入れ緩和をはかる。一方で、文科省は不適切な受け入れをしている教育機関に対しては受け入れ停止措置などをとる。

▽大学などに一般学生向けとは別の留学生相談対応機関をつくる。形骸化している入学時の身元保証人制度を廃止する。

▽十分な奨学金を支給できない以上、文科省は新たなアルバイト紹介システムを検討する。

▽卒業生には1年間の就職活動用在留資格を無条件に認める。また、専門学校などで学び、「介護士」「美容・理容師」「調理師」などの国家試験に合格した場合、日本で働くことができるようにする。

それにしても、なぜ10万人計画はうまくいかなかったのか。提言は「留学生受け入れが労働目的の外国人の入国規制と同じ枠の中で扱われた」ことが大きな原因だとみる。この両者が一緒にされているからこそ、審査の厳格化も起きる。おまけに外国人犯罪の問題までもが外国人学生と直接結びつけられているのが現状だ。そして提言は言う。

「真摯に勉学する意志のある留学希望者をまたも日本離れに追いやる結果を生みつつある」

提言全文は、 http://www.abk.or.jp/asia/pdf/sisa01.pdf で。




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