――北朝鮮のエネルギーの現状をどうみますか。
「96年の供給は危機前の90年に比べ、20〜35%の水準に落ちた。今はもっと悪くなっているだろう」
――危機の実態は。
「燃料不足がすべての悪循環を招いている。鉄道のディーゼル燃料が不足すれば石炭を火力発電所に運べず、発電できなければ工場は鉄道の部品がつくれない。北朝鮮のインフラはゆっくりと崩壊している」
――エネルギー危機の理由と背景は何でしょうか。
「旧ソ連の崩壊で、90年代の初めにロシアの専門家と援助が実質的にゼロになった。工業製品の大部分はソ連、東欧向けだったが、ある日突然、国際市場で通用しなくなった。原油供給の半分も失った。ロシアは米ドルなどで払わない限り、輸出しなくなったからだ。累積債務や米国と西側諸国の経済制裁で孤立したことも原因だ」
――北朝鮮の発電インフラはどうなっているのでしょうか。
「送電線や配電網が十分に稼働せず、使用可能な発電所は減り、より多くの人々がより長い時間、停電に耐えねばならなくなった。」
――北朝鮮のエネルギーはどうまかなわれているのでしょうか。
「エネルギーの大半は伝統的に国内の石炭でまかなってきた。しかし、石炭の供給が悪化している。この数年間、原油のほとんどを中国から輸入している。友好価格か、何らかの条件をつけたバーター取引とみられる」
――再生可能エネルギーの政策とシステムはどうでしょうか。
「政府は再生可能エネルギーの推進を強調している。実際、風力や、水車から中規模ダムまでの水力発電で、地方組織が自力で電力を供給するよう呼びかけている。北朝鮮の風力発電装置は国際基準からすれば極めて初歩的で、たぶん使い物にならない。水力発電システムは悪くない」
――北朝鮮はどう対処すればよいのでしょう。
「石炭インフラの再建と再生可能エネルギーへの挑戦、KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)で原子炉が完成した時にそれをうまく使う方法を見つけることだ。また、効率的な利用と徹底的な省エネ、他のエネルギーセクターへの投資などの方法を統合する必要がある」
――国際社会ができることは?
「インフラ問題で統合的なアプローチを提唱したい。選別された地域で農業、公共医療、エネルギー、経済インフラの再建事業に国際社会が資金を与える。そのレッスンを国中にひろげていけばいい。日米韓は資金協力で、それに中国も加わって人材派遣や技術支援ができる。また、電気モーターや風力発電システム、小規模水力発電などで北朝鮮とジョイントベンチャーを組むことができるかもしれない。」
「しかし、結局は北朝鮮の再建の主要な担い手は韓国だろう。その韓国でも、南北の長期にわたる関係構築について理解が深まるまでは無理だろう」
――洪水と干ばつを繰り返す悪循環の原因は何でしょうか。
「自然災害で避けられなかった。しかし、被害の規模は、環境管理の悪さに一因がある。国に干ばつと洪水をうまく処理する技術が欠けていた。無視できないのは、北朝鮮の森林環境が悪くなったのは、植民地時代からの長期にわたる開発、朝鮮戦争時代の打撃、土壌管理のまずさに加え、最近では石炭不足のため薪にしようと木を切ったためだ。短期的には肥料の供給、長期的には農業インフラの再建と土壌管理の改善が必要だろう」(インタビューは今月上旬電子メール上で行いました)
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■ノーチラス研究所 北東アジア・太平洋地域の安全保障を研究するシンクタンク。97年から北朝鮮に風力発電装置を設置したり、北朝鮮の技術者を米国で研修させるなどの活動を続けている。クリントン政権のペリー北朝鮮政策調整官(元国防長官)に北朝鮮事情の報告もしていた。本部は米カリフォルニア州バークリー。