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AAN発
日中韓合同シンポジウム

全体討論

台湾の「現状維持」双方に利


米国の覇権と中国の台頭

榊原) 世界経済のパラダイムシフトがあり、政治、安全保障でもそれを考えないといけないが、当面は米国がヘゲモン(覇権国)だということを前提に戦略的に考えないといけない。

権) 覇権競争で20世紀前半は世界戦争が起きた。しかし、21世紀はそのような世界戦争は起きない。米中が核戦争をするとは考えられないし、平和的に経済を通じて繁栄する道が開かれている。

カーティス) 米国は本当のヘゲモンか。イラクや核拡散の問題をみた場合、そのパワーを持っていない。だから、唯一の超大国としてのフラストレーションが強い。これが危険だ。

高原) 米国が圧倒的優位性を持つのは間違いないが、その権力を制約するための思想とメカニズムを私たちが持っていないことが問題だ。

崔) 米国は覇権的な行動を取るが、世界は変化しており、米国もやはり大きな制約を受けている。唯一の超大国だとしても完全に自分勝手な振る舞いはできない。

カーティス) こういう超大国との付き合いは難しい。小泉首相が9・11の後に(自衛隊を海外派遣する)テロ特措法を通したのは、米国の良き同盟国だと見せる必要を感じたから。韓国のイラク派兵も米国との関係から。ただ、自国の戦略がないとただの「言いなり」になる。

崔) 米中が台湾の「現状維持」でコンセンサスを得ていることが米中関係安定の要因になっている。だが、陳水扁総統の人気が落ちている。(回復に)統一か独立かというテーマで住民を挑発するかもしれない。

カーティス) 陳水扁は独立運動に火をつけるようなことを考えていると思うが、多分、何もできない。米国がいまの(現状維持という)立場である限りは。

國廣道彦・元駐中国大使) 中国は北朝鮮の核を取り除く決意を持つのか。

崔) 中国にとって、朝鮮の非核化は断固とした政策目標だ。しかし、北朝鮮は(体制の)安全に対する憂慮がある。ブッシュ政権になってその憂慮が強まった。

制度よりまず個別協力


東アジア共同体に向けて

劉) 東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国プラス日中韓3カ国で中国側の(経済協力の)提案が日韓の支持を得られず、中国はASEANとだけ交渉する結果になっている。各国の制度が異なるなか、政策的統合は難しい。まず、個別具体的な協力を話し合っていくことがいい。

榊原) アジアの統合は市場主導で、制度が追いかける形をとっている。ということはプラグマチックに、例えばエネルギーならロシアや中東が入るというように、すべてASEANプラス3という話ではないと思う。

権) 東アジアと米国を含む国々が一つになろうと、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の動きがあったが、米国の新自由主義的な体制を重荷と感じた国々があり、それでASEANプラス3ができた。昨年11月にAPECが開かれたが、12月には(米国が参加しない)東アジアサミットが開かれた。アジア太平洋主義と東アジア主義が競争関係になった。

カーティス) 中国で組み立てられたものが一番売れているのは米国。東アジアが閉鎖的な地域主義に陥るのは不可能だ。

山澤逸平・国際大学学長) 東アジアの経済統合で、米国は国としてではないが企業がすでに入っているし、アジアのどの国も米市場に輸出して発展してきた。東アジアの統合は脅威だと米国が考えるのは、米国の学者やメディアの責任だ。

高原) オープンな地域主義に賛成だ。ただ、米国の力が圧倒的に強いから、日中韓で組むこともできないといけない。

韓) ASEANと日中韓が協力しようとする際、問題になるのは3カ国、とくに中国と日本がASEANの歓心を買おうと努力していること。これが障害になっている。

米も無関心ではない


政冷経熱の今後

ハイ仁俊・東亜日報論説委員室長) 経済の連携が緊密になっても国家レベルでの信頼回復も重要だ。それぞれが持つ民族主義、民族主義的な政治といったものを解消しないといけない。

榊原) 「政冷」で経済も悪化するかというと、経済はもう戻れないところまで来ている。あとは政治がどうハンドルしていくか。ただ、ナショナリズムは政治家にとって支持率を上げる有効な手段。そのチェックをしていかないといけない。

カーティス) 経済の相互依存が深いから大丈夫というのは幻想。昨年4月の中国での反日デモで、日本人が何人か殺されていたら、日本のリアクションはどうだったか。このままの悪い状況が続けば米国も無関心であるはずない。

2006年6月7日


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