あるときは敵になり、あるときは味方になり。占領国だったり、植民地解放の恩人だったり。
思えば前世紀以来、日中韓3国と米国の関係はそれぞれ複雑な経緯をたどってきた。そしていま、3国と米国の距離感はもちろん多様である。
しかし、どの国にとっても違いがないのは、太平洋の向こうに位置するこの超大国が、安全保障上も経済上も、欠かすことのできない存在だということだろう。
初めて米国を加えたこの「日中韓」シンポで議論の前提になったのは、その米国が圧倒的な強さとともに限界やもろさをもっており、それが各国の対処を難しくしているということだった。
超大国ではあっても、イラクやイランにてこずり、北朝鮮の核も押さえ込めない。だから、とても覇権国家だとは言えない、というカーティス氏の発言で議論は盛り上がった。いろいろ反論があったが、何事も米国の思い通りに運んでいるわけではないのは確かだ。
東アジアでは北朝鮮の核をめぐる6者協議でカギを握る米国だが、その戦略は定まらず、中国や韓国をいら立たせる。
一体化が進むアジア経済の発展は米国という消費地に支えられている。基軸通貨をもつ米国の優位性は明らかだが、その米国も膨大な貿易赤字を抱え、ドル暴落の予感におびえる。人民元への圧力は自分の弱さの裏返しだろう。もしドルが暴落すれば、アジア経済の大混乱は避けられない。
東アジア共同体づくりにせよACU(アジア通貨単位)構想にせよ、アジアには一緒になって米国にあたるべきことが多い。なのに日中韓3国は歴史問題などで角つき合わせ、動きがとれない。そこに一番の問題があるというのが、討議で浮かんだ結論だった。
つまり、米国とどうつき合うかの前に、日中韓がどうやってまとまりを確保するか。それが先決なのだが、何とも皮肉なのは、そんな3国の状況を心配してくれるのも、ほかならぬ米国だということだ。
東アジアがこのありさまでは、米国も作戦が立てにくいのかもしれないが、米国に心配してもらう3国は恥ずかしくないか。そのためにも、まずは靖国問題にけりをつけ、大きな和解を目指すべきだと思うのだが、それは参加者のコンセンサスでもあった。
先行き不安な東アジアにあって救いなのは、米中関係の落ち着きだ。この討議でも、台湾の「現状維持」が双方の利益という見方で米中が一致した。そのことも含め、中国参加者の発言ぶりがかつてなく率直で伸び伸びしていることが会場で話題になった。中国は国際舞台で自信をつけてきている。それは私だけの印象ではあるまい。
2006年6月7日