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The Asahi Shimbun Asia Network
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 一線から
AANの研究チームが、取材・調査の過程で直面したこと、考えたことなどを、随時リポートします
NGOの強力助っ人
大島堅一
「アジアの環境と開発」研究チーム

「放射性廃棄物の発電所別データが得られるんだけど、欲しい?」。先日、韓国の環境NGO・韓国環境運動連合のヤンイーさんから、こんな電子メールが入った。できれば欲しいという返信を送ると、すぐに了解との返信。

 別の日に、私は、台湾の王さんに台湾の放射性廃棄物に関する質問とデータに関する問い合わせを送った。その日のうちに問い合わせに対する回答とデータファイルが送られてきた。王さんは台湾の原子力政策と反原発運動に造詣が深い。王さんから送られてきたデータは、台湾国内でしか取り寄せられないもので、台湾の原子力政策を理解する上で必要不可欠の素材だった。

 これらのやり取りはほぼ一瞬のうちに可能だ。インターネットの世界に国境はないといわれるが、まさに国境の存在を全く感じさせないほどの速さと正確さである。

 環境問題に取り組む研究者やNGOにとって、インターネットはまさに不可欠の道具だ。インターネットがない時代は、手紙を書いたり、電話をかけたり、ファックスでこちらの用件を伝え、さらに先方から返事をもらう必要があった。手間もコストもかかる。これがインターネットにつながっているコンピューターさえあれば、非常に安価に情報のやり取りができる。

 もちろんパソコンは、韓国や台湾の人々はともかくとしても、アジア途上国の人々にとってはまだまだ高価である。しかし、多くの国でインターネットカフェがあるので、環境問題にかかわる人たちは大抵インターネットを利用している。パソコンをもっていなくても、hotmailなどの無料メールサービスを利用できる。

 インターネットによる革新が環境分野で本格的におこったのは、日本では1997年の気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)前後のことではないかと思われる。97年以前も、いわゆる「パソコン通信」を使って情報のやり取りが行われていたが、ニフティ・サーブのフォーラムとよばれる会議室での意見や情報のやり取りなどに限られたものだった。この時期、国際的な広がりという点ではもちろんのこと、国内的にも利用は極めて限られていたといってよい。

 COP3開催前後から、日本でも、全国に散らばる環境NGOのスタッフが手分けして政策資料を検討するようになった。資金も人材も限られるNGOが、タイミングよく政策分析ができるようになったのは、インターネット利用の普及拡大によるものといってよい。

 メールだけでなく、Webページを利用した公式資料の入手も数年前に比べて格段に容易になった。日本も、現在では環境省、経済産業省の各種審議会の議事録や配布資料は、基本的にWebページにアップロードされるので、政策動向を比較的正確に把握することができる(ただし、これは省庁によって事情が異なる。経済産業省でも産業構造審議会化学・バイオ部会の配付資料はほとんど掲載されない。また、環境問題と深く関係する国土交通省関連の審議会資料はダウンロードできないものが多いし、そもそも審議会開催通知すら掲載されていない。これでは傍聴すらできない。早急に改善が必要だろう。)。国連会議関連も、公式決定は基本的にWebページ上で掲載される。政策決定プロセスをインターネットを使ってガラス張りにしていくという動きは後戻りすることはないだろう。

 だが、インターネットだけですべての情報が得られるかというとそうではない。そもそも、その問題に関しての基本的常識を身に付けておかなければ、どれが有用な情報であるかすら判断できない。調査対象を選定する際にも、Yahoo!やGoogle等の検索エンジンを利用してあたることでは不十分だし、むしろ危険だ。ときとして不適切な人物にコンタクトしてしまう場合があるからである。途上国の環境問題を扱う場合、適切なルートで現地に入らないと、その後の人間関係がうまくいかない。

 先にあげたヤンイーさんも王さんも、実際に会って信頼を得た人たちだ。国籍や文化が違っても、環境保護という一致点があれば比較的信頼関係を築きやすいというのが環境分野の特徴である。インターネットの利用が進むにつれ、国境を超えた信頼関係がますます重要になってきたといえよう。

2002年11月29日
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