Top
朝日新聞社 www.asahi.com ENGLISH
asahi.com
  天気 | クラブA&A | 辞書 | 地図 | サイトマップ | ランキング | 最新情報 サイト内検索  
home  > 国際  > AAN  > 

The Asahi Shimbun Asia Network
 ホーム | 一線から | AAN発 | 今週のコラム | 年間リポート | アジア人記者の目 | 書評 | リンク | English
 一線から
AANの研究チームが、取材・調査の過程で直面したこと、考えたことなどを、随時リポートします
「公益」の官僚支配を打ち破ろう
村田 泰夫
「環境と開発」チーム

 公益はだれが担うのだろうか。これまで日本で、公益とは官庁が担うものだと思い込まれてきた。財団法人や社団法人などの公益法人の設立には、主務官庁の許可が必要だと民法34条に規定されている。学校法人や社会福祉法人も同じだ。

 公益法人を認可する「公益性」の判断はあいまいで、官僚の裁量に任されている。強すぎる監督権限が、公益法人の役員に官僚の天下りが多い一因になっている。

 少し改善はされた。公益活動をしているのに法人として認められない矛盾を解消するため、特定非営利活動促進法(NPO法)が98年に施行された。公益を追求しないが非営利団体である同窓会などの組織を「中間法人」とする制度も01年にできた。

 しかし、公益について官僚支配が揺るいだわけではない。公益性の程度に応じて、公益(財団や社団)法人、NPO法人、中間法人、任意団体に区別する権限は、官僚の手に握られたままだ。税制の優遇措置もそれについて回る。いったん公益法人として認められれば、役割を終えて当初の設立の趣旨に合わない事業をやっていても、引き続き税制の優遇が適用される。逆に、世のために活躍するNPOに優遇措置は適用されない。なんという矛盾だ。

 特定の地域に限って規制を緩和する「一国二制度」のような構造改革特区に官僚の抵抗が強い背景にも、「官尊民卑」の考え方が根強くあるあらわれである。地方自治体から出された提案通りだったら株式会社による病院や学校経営の実験ができたのに、葬り去られた。株式会社が医療・教育改革の旗手になると思っているわけではない。民間に公益事業を担う資格がはなからないと排除する考え方に問題がある。

 いまや公益の担い手は多様化している。一部の公共事業のように、官が独善的に実施する公益が実は「官益」だったりする。民間の企業や非営利組織(NPO)の方が公益を立派に担っていることだってある。

 公益法人制度の抜本改革論議がいま進行中だ。政府は3月中に改革案を示す。政府の行革推進事務局が今夏に示した論点整理によると、民法34条改正のレールは敷かれた。市民立法のNPO法も発展的に解消されよう。

 改革の方向を誤ってはならない。まず、法人の設立と公益性の認定を分ける。会社など営利法人の設立が登記だけで済むように、非営利法人の設立も自由にする。公益性があるかどうかは官僚に任せず、第三者機関が活動実績を見て判断するようにしたらどうか。

 公益性のある法人への寄付を免税にするなどの税制上の優遇措置は、もっと広く認めたらどうか。たとえば、所得税の1%は、その納税者が応援したいと思うNPOに寄付できるようにしたら、国民のお金は有効に使われる。公益を国家が独占する時代は去ったのである。  

2003年2月7日
▼バックナンバーへ

Homeへ | 画面上へ