6月9日から14日まで朝日新聞夕刊3面で連載された「海を渡って 廃棄物とリサイクル」は興味深い内容だった。私もこれまで、中国をはじめ各地で金属、プラスチックなどをリサイクルする工場を訪問してきたが、貿易を通じた結びつきが強いアジア地域大での廃棄物の適正処理やリサイクルの仕組みづくりが必要となっていると感じている。
廃棄物の輸出先であるアジア諸国では、リサイクルの過程で汚染が生じている。環境規制が緩く、執行が不十分なため生じている問題である。江蘇省の輸入廃ペットボトルから繊維を造る工場では、排水処理施設が設置されていなかった。浙江省の台州市では、政府の指示に従って、廃金属を洗った水の沈殿漕や金属だけを取り出すための焼却炉が設置されていたが、十分な環境対策ができているとは思えなかった。
輸出元である日本では、リサイクルできないものや有害なものが輸出されるという問題がある。ニッソーのような意図的な事例もあれば、仲介者のリサイクルに関する知識が不十分なため、リサイクルできないモノが輸出されるというケースもあるようだ。上海や広東省では、繊維とゴムをはりあわせた製品など、複数の素材が使われ、分離が難しい廃棄物が放置されていた。
これらの問題を解決していくためには、リサイクル目的での廃棄物の取引に関するトレーサビリティー(追跡可能性)を高める必要がある。輸出先でどのようにリサイクルされるのか、環境汚染を引き起こさないかどうかを確認することが、輸出業者、廃棄物の排出者に求められている。また、リサイクルできないものが混入し、税関で追い返された場合には、輸出業者が排出元を特定できるようにしておくべきである。
すでに、トレーサビリティーを確保しようという動きもある。日本の家電リサイクル工場で分解、分別されたコンプレッサーや廃プラスチックなどは、スクラップを扱う業者を通じて中国へ輸出されてきた。私がヒアリングした家電リサイクル企業3社は、中国でどのようにリサイクルされているかについて、現地調査を行っていた。調査をもとに、輸出先で環境汚染が生じていないかを判断し、取引先を選ぶなどの措置を講じていた。中国は、昨年8月に廃家電の破砕品の輸入を禁止したが、きちんとした調査に基づいて輸出先が決められていれば、問題が生じることは少ないと思われる。
魚箱として使われた発泡スチロールは、魚市場などで圧縮・減容されてから、中国へ輸出されている。中には、異物が混入し、中国から追い返される場合もあるという。このような廃プラスチックを扱っている商社の中には、コンテナから、排出元を特定し、異物が混入されないように指導を行っているところがある。
日本政府も、アジア諸国との情報交換をすすめ、排出元からリサイクルされるまでの廃棄物の流れを追跡し、実態を把握する必要がある。異物の混入で中国の税関で追い返された船については、中国から通知をうけ、日本に帰港したのかを確認し、再発防止策を業者に確認することが求められている。適切にリサイクルできるにもかかわらず、貿易が制限されているモノについては、相手国と協議を積極的に行うことが望まれる。