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The Asahi Shimbun Asia Network
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 一線から
AANの研究チームが、取材・調査の過程で直面したこと、考えたことなどを、随時リポートします
二つのパーティー
永持 裕紀
「アジアに開く日本」研究チーム主査(外報部員)

孔魯明会長
ゲストと談笑する孔魯明会長(中央)

朝日新聞アジアネットワーク(AAN)という組織について(改めて)ご説明します。活動の方向性や具体的な中身について決めるのは、会長、委員で構成する委員会です。委員には朝日新聞の編集幹部、論説幹部も加わりますが、特色は朝日新聞の方以外からも人材を募っていることです。初代会長は元国連事務次長の明石康さん、二代目は朝日新聞の編集担当専務を務めた中馬清福さんでしたが、三代目会長にこのほど韓国の元外相だった孔魯明さんが就任しました。あわせて委員にも、フランス、韓国、ベトナム大使を歴任した外務省出身の小倉和夫さん、日本の中国研究の第一人者、天児慧さんが就任。19日、新しい陣容のお披露目パーティーが東京・築地の朝日新聞社内でにぎやかに開かれました。

その場で明石さんは「日本のシンクタンクのトップに日本人以外が就任することは聞いたことがないが、ヨーロッパではドイツの組織のトップがフランス人だったり、そうした例が当たり前になっている」と祝辞を述べ、「孔・AAN会長」が今後のアジアと日本との関係を指し示す何よりのメッセージになっていることを強調されました。会場でも、新体制が作り出していく今後の活動に対する期待の声をいただきました。ちなみに、私のポジションの「主査」というのは、委員会で決まった方針を現実化するための実動部隊(のまとめ役)です。ご参考までに……。

小倉・新委員は最近の著作「吉田茂の自問」(藤原書店刊)で、戦後の日本のアジアとのかかわりについて、こんな風に総括しています。「ごく最近まで、日本のアジア外交は、日本がアジアでほとんど唯一の『経済的に豊かな民主主義国』であるという事実から出発し、ほとんどそこで終わっていた」「日本はいってみれば、『脱亜入欧』に成功した国としてアジアと向かいあってきた。その意味では、第二次大戦の前と後とで日本のアジア政策の根本は変わっていない。こうした路線をいつまで続けられるかは、アジアの国々の民主政治の成熟度と経済水準が高まるにつれてますます鋭い問題として日本につきつけられてきている」

戦友会
旧日本陸軍第22師団戦友会

会場で、小倉さんのお話も伺いながら、私はその一週間前に開かれたもうひとつのパーティーのことを思い返していました。パーティーといっていいのか分かりませんが、それは旧日本陸軍第22師団の戦友会です。最も年少の人で80歳。中国に派遣された師団ですので、集まった20人の方々から、それぞれに戦争観、アジア観、中国観を聞きました。この戦友会のことは、昨年の「動く中国とつきあう」の特集でも触れたことがあります。(一対一の交流深めて見え始めた「共同体」http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu021224a.html)「中国の人たちへの謝罪」ということを、とにかく、形として表したことのある人たちなのです。

にもかかわらず、いま日中関係を最もこじらせている小泉首相の靖国神社参拝については、「行ってほしい」という人が大半でした。その「ねじれ」の背景がずっと分からなかったのですが、今度それなりにじっくり話を伺った結果、A級戦犯が合祀されている場所に日本の最高権力者が詣でるということへの中国人の視線、感情を、深いところでは理解できないままで来ている日本人、ということが頭に浮かびました。戦友会参加者がそうでした。「中国で悪いことをした」と思っている方でもそうなのですから、そういう実体験を持たない、しかも継承もされていない世代は、「中国人の思い」をリアルに感じ取ることは極めて難しいことなのかもしれません。

けれど、そうしたお互いに対する理解、想像力を欠いた状況を過去のものにしなければアジアとの交流が立ちゆかなくなる時代が、はっきり訪れたのだと思います。天児・新委員は最近の著作「中国とどう付き合うか」(NHKブックス)で、「現在」について、「もし国際社会や日本社会を正視し、あえて日本のあり方を再考し、新しい国のあり方を模索しようとする日本人がいるなら、今を『危機』として強く意識すべきであろう」と規定したうえで、中国や世界(アジアも当然含意されているでしょう)との交流を前向きに生かしていく意味をこう強調しています。

「日本を中国人がみて、あるいは世界の人々がみて、素晴らしい魅力的な国・社会と感じてもらえるような国に再生するために、日本人一人一人が日々を努力することにこそ、日中関係を、そして世界との関係をより良い豊かなものにしていく鍵がある」

いまこそ、アジアとの今後のつきあいを意識的に考え直す必要がある、そしてそれは嫌なことではなく、楽しいことであるはずだ――。そのメッセージを日本社会に広げていくことがAANの大きな仕事ではないだろうかと、実動部隊(の一人)としては考えています。

2003年11月21日

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