89年の天安門事件で傷ついた米中関係を癒(い)やそうと、有力な中国系米国人たちが翌年「百人会」をつくった。
米国の政財界と中国当局の懸(か)け橋となって人間関係を広げ、ビジネスの拡大も図ってきた。米中関係がきしんだ時には、双方(そうほう)に水面下で修復を持ちかけたりもした。
あつれきの絶えない日中関係をうまく運ぶため、日本でも「百人会」のような活動はできないものか。東洋学園大教授の朱建栄(しゅ・けん・えい)さんはそう考えた。もっとも、日本で活躍(かつやく)する中国人の多くは学者や研究者だ。まずはアカデミズムの世界の交流に力を入れようと、昨年春、約60人で「日本華人(かじん)教授会議」を旗揚(はたあ)げした。
ところが、彼らが中国国内に持っている人的ネットワークを、日本の経済界が見逃(のが)さなかった。
たとえば、朱さんの専門は中国政治だが、上海の経済界や北京の当局者にも知人が多い。小泉首相の靖国(やすくに)参拝や歴史問題をかかえる日中関係の裏で、中国の有力者は何を考え、何をめざそうとしているのか。日本の経済人にとって、朱さんらから得られる情報は貴重だ。経団連の奥田碩(おくだ・ひろし)会長は「会議」発足から1年を記念して最近開かれたシンポジウムで、「会議」の人々からの意見や指摘(してき)に感謝を表明した。
「会議」の歩みは、政治より経済が先行する今の日中関係を映している。だが、経済には波がある。「知的な交流と冷静な相互(そうご)理解が、やはり日中の安定的な発展に必要だ」と朱さんは言う。
2004年5月17日