現在位置 : asahi.com > 国際 > AAN ここから本文エリア

The Asahi Shimbun Asia Network
 ホーム | 一線から | コラム | アジア人記者の目 | AAN発 | 書評 | リンク | English
 一線から
AANの研究チームが、取材・調査の過程で直面したこと、考えたことなどを、随時リポートします
エネルギー考現学fromアジア(2)

1兆バレルの石油を使った人間・もうなくなる?
原油高でメジャー、ウハウハ

小森 敦司
(AAN主査)

「最初の1兆バレルの石油を使うのに125年かかりました。次の1兆バレルは、30年で使ってしまうでしょう」。米石油大手シェブロンはいま、自社のこんな広告をホームページで紹介しています。この1兆バレルという数字から、人間の資源消費を前回に続いて、考えたいと思います。

ただ、1兆バレルといっても、ぴんと来ませんね。そこでまた、この量を実感するために「東京ドームおたま」で量り直してみました。あの東京ドームをひっくり返して、巨大なおたまに見立てるのです。

1兆バレルは1590億立方メートル。これを東京ドームの容積約124万立方メートルで割ってみると……私たち人間はこの地球から「東京ドームおたま」で約13万杯もの石油をくみあげて使ってしまった、ということになります。そして次の30年でまた約13万杯。(ちなみに米南部ニューオーリンズが05年にハリケーンの被害を受けましたが、石油などの採掘による地盤沈下も被害拡大の理由として指摘されました。)

それで、世界的な議論になっているのが、石油生産がもう峠を越えつつあるのでは、という、いわゆる「ピークオイル説」なるものです。人間が使える石油の埋蔵量は、あと1兆バレルしかないとか、2兆バレルしかない、などと取りざたされてます。

事実、もう生産が減り始めた油田も出てきてます。私もロンドン特派員をしていた04年1月、北海油田の英国側の生産減少が止まらないという記事を書きました。米国の生産減もはっきりしています。

しかし、そう焦る必要はないのかもしれません。何より石油消費国の総本山・国際エネルギー機関(IEA)の予測は、今後、中国やインドの需要が大きく増えると見ているものの、数十年後の世界のトータルの需要と供給は常に一緒。つまり資金さえ使えば、まだまだ石油はくみ出せるとの前提に立っているのです。

そもそも、70年代のオイルショックを知っている世代の方なら、あの頃、あと30年程度で石油がなくなると騒がれたことも覚えいますね。でも、石油の埋蔵量は油田の発見や掘削技術の進歩で、当時より増えています。私は枯渇より東京ドームで13万杯もの石油を使い・燃やすことによる温暖化など地球への悪影響のほうが心配です。

話を戻すと、原油高を受け、シェブロンは05年の決算で140億ドル(約1兆6000億円)という過去最高の当期利益を上げました。エクソンモービルやBPといった石油メジャーの業績もウハウハです。

「石油がなくなるゾ」と広告して油価高騰をあおって、もうけようとしているとみるのは、さすがにうがった見方でしょうか。

原油価格の推移



(2006年9月5日)

▼ バックナンバーへ

∧このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。 Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.