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年間リポート:2001リポート
「北東アジアの安定と発展」と「アジアの人流新時代」をテーマにした2年目の総合的研究
ITを舞台に新たな協調を

資料 日韓の経済交流に新しい構図が現れ始めている。21世紀のカギとなる情報技術(IT)を媒介とし、両国 の企業が提携する動きである。そこには互いの持ち味を 生かした技術や商品で補完し合うパターンが登場してお り、将来、両国が自由貿易協定(FTA)を結び、市場の 共通化と拡大を図るうえでも、モデルになっていくだろう。

 日本の重工業化と輸出志向の経済成長を参考にした韓 国は、これまで財閥を中心にしたピラミッド型の産業構 造を築き上げてきたが、日本とは輸出市場でぶつかり合 い、日本市場への参入も阻まれてきた。だが、IT時代 がこの図式に変化を促した。韓国で開花したIT産業の 波に乗って、韓国企業の間に対日進出機運が盛り上がっ ている。

 ソウルにあるベンチャー企業、アジア・アミューズ (李相徳社長)は、2000年11月に日本のKDDI (本社・東京)との間で、携帯電話を使ったインターネ ットのコンテンツについて業務提携を結んだ。両国の芸 能、文化、レストランなどの街角情報、占い、ゲームに いたるまで、コンテンツを双方が翻訳してネットで流す 事業だ。

 背景には、日本文化が開放された韓国と、日本で、若 者を中心に相互の文化への親近感が急速に高まってきた 事情がある。とりわけ、大都市に住む若者の間での「携 帯カルチャー」は日韓両国でよく似た広がりを見せてい る。日本のNTTグループの企業に勤めた経験もある李 社長は「携帯電話でのインターネットは、今後、韓国、 と日本から香港や台湾などアジアに広がっていく。そこ に韓日企業の商機も増える」とみている。

 韓国でITブームの火付け役になった「PC房(バ ン」と呼ばれる高速回線を使ったインターネットカフ) ェも、サムスン系企業のテコ入れで同年12月に東京・ 渋谷で1号店が開店した。今後、3年間で全国に500店 を開くそうだ。

 IT業界では「無線の日本、有線の韓国」と言われ、 ている。携帯電話でのネット事業では日本が先行したが、 経済危機以降、通信事業の規制緩和とパソコンの普及を 大胆に進めた韓国では、高速回線によるネット事業が成 長した。そこに両国の提携が生まれている。

 日韓の間では、今、FTA実現に向けた論議も底辺を 広げてきた。これまでは政府系研究機関による「研究段 階」にあったが、同年9月の日韓首脳会談で民間による 「日韓ビジネスフォーラム」設置にも合意、経済界によ る協議が始まろうとしている。

 ただ、日韓でFTAを実施すれば、韓国側の貿易赤字 が膨らむとの懸念が依然として根強い。双方で今や年間 300万人以上が行き来する旅行収支は、韓国の大幅黒字 だが、モノ中心の貿易で考える限り、当面、10倍の経済 規模がある日本の力を恐れる声が強い点も理解する必要 がある。

 韓国・釜山にあるルノー・サムスン自動車は、日産自 動車からの技術導入で創業した。取引のある韓国南部の 部品産業約90社のうち、およそ半数の企業が日本と提 携や合弁で技術を導入している。ところが、日本の自動 車産業に部品を納入している企業は10社にも満たない。 日本の系列取引の壁もあろうが、部品の品質基準で十分 追いついていない面もあるという。

 だが、そのサムスンも同じルノー・グループとなった 日産自動車との間で車台の共通化などがこれから滑り出し、 並行して部品の相互供給も促進されるとみられている。

 欧米企業の日韓両国への進出も、FTAの構想も、経 済のグローバル化の波に両国が同時に洗われている表れ である。日韓経済は過去数年、この波に大揺れしてきた が、IT交流に表れているように、分業や技術協力で協 調し、競い合い、産業の構造転換を進めていくべきだろう。

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