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ウガンダ…大洪水の襲来

2008年5月22日

  • 神田明美

写真数週間にわたって30センチくらいの水にさらされたアキュマ・アルフレッドさんの家。土でできた家は、床と壁の下の方がぬかるみ、一家はおびえながら過ごした=ウガンダ北部リラ県のアプア村で写真アキュマ・アルフレッドさんの家の土壁の下の方には白いあとが残っていた。妻のアンゴン・アンナさんは、「あの高さに水がずっとたまっていた」と話した写真何日間もたまった水を流そうと、住民たちが道路脇に掘った溝=ウガンダ北部リラ県写真反政府軍と政府の停戦合意で、村への帰還が進みつつあった国内避難民たちのキャンプも襲った=ウガンダ北部リラ県アドワリコーナー村の国内避難民キャンプ

 2007年、ガーナ、ケニア、エチオピア、ウガンダなど、サハラ砂漠以南の東西アフリカ20カ国以上を大洪水が襲った。被災したのは約200万人以上だ。

 国連環境計画(UNEP)で水を専門に研究しているパトリック・ンマイ氏は、「アフリカでは20年以上にわたって干ばつと大洪水が繰り返されてきた。07年の大洪水もそのサイクルにある」と、アフリカが気候の異変に見舞われていると指摘する。

 東部アフリカのウガンダ北部も大きな被害を受けた地域だ。07年7月に大量の降雨に見舞われた。8月中旬から集中的な雨が続き、9月になるとはんらんした。この3カ月間の降雨量は768ミリ。過去4年間は、300〜400ミリ台で、07年の異常さが際だつ。

 首都カンパラから北へ車で5時間。北部の農村地帯リラ県は、もっとも被害を受けた地域のひとつだ。昨年11月、現地を取材した。10月ごろには水は引いていたが、被害の跡は残っていた。

 舗装されていない赤茶色の道。両側にはトウモロコシや主食の芋キャッサバ、ごま、豆の畑、草地。木立や林もある。その中に村が点在する。06年8月に停戦合意されるまで20年間にわたって続いた内戦下、反政府勢力の「神の抵抗軍(LRA)」からの襲撃を逃れるために一時期、住民の半数が国内避難民となった。06年8月に「LRA」と政府が停戦合意した後、住民は徐々に数キロ離れた元の村へ帰り、新しい生活を再建し始めたばかりだった。

 国内避難民キャンプで支援活動をしている英国のNGO「サマリタン・パース」のクリス・ブラックハムさん(32)によると、川は濁流がはんらんし、橋は見えなかった。胸くらいの高さの水につかり歩いて川を越えた。道にたまった水を少しでも押し流そうと、人々は道路脇に溝を掘った。

 「18時間から20時間の雨が、毎日、降り続いた」。アドワリコーナー村の国内避難民キャンプで委員長をしている地元のリーダー、ブア・デニスさん(28)は言う。元の村へ帰った人々も200〜300人が一時期、キャンプに戻って避難した。

 デニスさんは困惑する。「昨年は雨期の9月から10月に雨が降らずに乾燥がひどかった。それが、今年は雨がいつも以上に降り続いた。こんなことはなかった。どんな気候になっているのか……。変わってしまった」

 ブラックハムさんも「ふくらはぎほどの高さの水が、数週間にわたってずっとたまった。農村のほとんどの地域が被害を受けた」と言う。ウガンダは森林が多く緑に恵まれているが、燃料を木に頼っているため、森の木を伐採して保水力を失い大雨の水が農村や町へ流れ出すことも影響している、という指摘もある。

 このキャンプから昨年末にアプア村に戻り、家を再建して畑で作物も作り始めていたアキュマ・アルフレッドさん(38)の家の周辺一帯も、9月から10月にかけての数週間、30センチ近い水がずっとたまった。

 キャンプや農村のほとんどの家は、6畳ほどの広さを泥の壁で囲んだ藁葺きの屋根だ。10センチくらいの高さの床も泥でできている。

 引かない水のために、床の泥はぬかるんだ。壁の下の方は水にさらされ続け、崩れるのではないかと不安だった。雨が降る夜は、ビニールシートとマットレスの上に5人の乳幼児と夫婦が座って眠らずに過ごした。雨がやんだ夜は、庭のマンゴの木の下に葉とビニールシート、毛布を敷いて7人が並んで眠った。

 妻のアンゴン・アンナさん(37)は、「家から水をかき出しても井戸のようにあふれてくる。収穫間際のキャッサバもサツマイモも腐ってしまった。こんなに天気が変わってしまったら、予測がつかなくて作物を育ていることもできない」。

 NGO「サマリタン・パース」のブラックハムさんは「希望を持って村での生活を始めた人たちの精神的なダメージは大きい。次の収穫までまた半年待たなければならないから」。ブラックハムさんが地元の人に雨期を尋ねると、人によって言う時期がバラバラだ。「季節が定まらなくなったからだ」

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