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ガーナと日本の甘い関係

2008年4月30日

  • 国際連合開発計画ガーナ常駐副代表 小松原 茂樹

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 皆さんがガーナと聞いて連想するものは何でしょうか。アフリカの国(その通り!)、サッカーが強い(そうです!ワールドカップにも出ました!)、ガーナチョコレートは良く知っている(有難うございます!)、けれど他は良く知らない(やはり・・・)というのが、昨年7月にガーナ転勤になった時、日本の友人知人から一番良く聞いた声でした。

 世界が狭くなったとはいえ、日本から飛行機を乗り継いで20時間近く、日常生活で耳にすることのない国や場所の事になると、情報もイメージも限られます。限られたイメージには間違いが多いものですが、ガーナ=チョコレートはあながち間違いではありません。ガーナ産のカカオはその質の高さと豊かな風味で知られており、日本が輸入しているカカオの7割はガーナ産です。日本の皆さんが10回チョコレートを食べたり、ココアやホットチョコレートを飲んだりすると、そのうち7回はガーナの味ということになります。またガーナにとってカカオは「金のなる木」として100年間(独立前の50年、独立後の50年)にわたりガーナを支え、今でも総輸出の4割以上を占める基幹産業です。カカオを通じて日本とガーナは意外に深く長いお付き合いだったようです。

 ところがそのようなカカオの将来も万全ではありません。ガーナ大学の調査によると、主に「重労働」を理由にカカオ農家の大半が子供に家業を継いで欲しくないと思っており、子供の大半もカカオ農業を継ぎたくないと思っています。政治の安定と一次産品(特に金とカカオ)価格の上昇を背景にガーナ経済が高度成長を続けるなか、ガーナを支えてきたカカオ農村は近い将来過疎化の問題に直面するかもしれません。国連開発計画ガーナ事務所では、カカオ農村の活性化と農民の持続的な生活向上を目指した10年計画を策定中です。

 ガーナの首都アクラでは安定した政治経済を背景に、オフィスビル、7―8階建ての「高層」マンションや一戸建ての建設ラッシュが続いています。昨年には、どの先進国にもあるような大型の複合ショッピングモールがオープンし、見物をする人や買い物をする人で連日にぎわっています。街中では有名メーカーの新車が走っているのも多く目にします。

 また最近、ガーナの沖合で油田も発見され、楽観的な将来見通しも耳にします。アクラを中心とする南部では、富裕・中産階級が現れ始めていますが、一方で北部ガーナや遠隔地では職業や収入を生み出せる経済活動に乏しく、公共投資も充分でないことから、依然として厳しい貧困が広く存在し、その結果多くの女性や若者が職業と収入を求めて都会に出稼ぎに来ています。しかし、ただ都会に出てきても適当な職が簡単に見つかるわけではなく、都会でも貧富の格差が目に付きます。従来から立場が弱かった女性や若者が、出稼ぎにいかずとも地元でより充実し希望のある生活を送れるにはどうしたらよいのか、ガーナ全体がより均衡して発展するにはどうしたら良いのか、日本の経験はこの分野で大きな助けになるのではないでしょうか。

 カカオには健康増進作用があることも知られており、ガーナではコーヒーブレークよりも「ココアブレーク」が主流です。チョコレートを食べながら、ココアを飲みながら、日本とガーナの意外に深くて近い関係に思いをはせていただければ幸いです。

プロフィール

小松原 茂樹(こまつばら・しげき)

1966年徳島県徳島市生まれ。東京外国語大学英米語学科を卒業後、ロンドンスクールオブエコノミクス大学院で国際関係論修士号を取得。92年より02年まで(社)日本経済団体連合会事務局に勤務。その間95年から98年まで、OECD(経済協力開発機構、パリ)にマネジャーとして出向。02年より07年までUNDP(国際連合開発計画)本部アフリカ局にカントリープログラムアドバイザーとして勤務し、南部アフリカ諸国におけるUNDPの活動をサポートすると共に、人間の安全保障プログラムの普及促進、環境プログラムの強化、選挙支援の調整、日本・韓国との連携強化等に取り組む。07年7月より、国連開発計画ガーナ常駐副代表として、ガバナンス、貧困削減、環境・エネルギー、情報通信、経済政策等の分野における支援計画の策定・実施、緊急援助の調整等に当たっている

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