■特派員リポート 星野眞三雄(ヨーロッパ総局員)
危機下の欧州を歩いていると、国境とは、お金とは何か、そんなことを考えさせられる。
G8サミット(主要国首脳会議)が開かれた英国・北アイルランド。かつて血で血を洗う紛争にまみれた地での開催に、キャメロン英首相は外国メディアへの記者会見で、「10〜20年前にはこの地でG8サミットが開かれるなんて想像もできなかった。和平プロセスは進み、訪れるのにすばらしいところになった」と胸を張った。
英国に支配されていたアイルランドは1937年に独立。北部6州は英国の統治下として残った。北アイルランドでは、英国からの分離とアイルランドへの併合を求めるカトリック系住民と、英国の統治を望むプロテスタント系住民が対立、60年代後半に始まった紛争の犠牲者は3千人を超える。98年に包括和平合意が成立し、カトリック系過激派アイルランド共和軍(IRA)指導部による2005年の武装闘争放棄宣言などを経て、07年には自治政府が復活した。事態は落ち着きつつあるものの、昨年12月には中心都市ベルファストの市庁舎での英国旗掲揚をめぐりカトリック系とプロテスタント系が対立し、放火や暴動が起きた。
G8サミットの会場は、ベルファストから車で2時間ほど西にあるロックアーンだったが、会場に近づける記者は英政府によって制限されたため、私を含む日本メディアの記者の多くはベルファストを拠点とした。国際メディアセンターが置かれたのは、爆弾テロに30回以上あい、「世界で最も爆破されたホテル」といわれた四つ星ホテルだった。
サミット期間中、ベルファストはいたって平静だったが、街を回ると、あちこちに紛争のつめあとが残っていた。
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朝日新聞国際報道部