08年6月号
マイケル・A・レビ 米外交問題評議会エネルギー・環境担当シニア・フェロー
環境汚染と地球温暖化の違い
――地球温暖化対策と、スモッグや酸性雨などの汚染を抑え込もうとしたかつての試みとの違いについて説明してほしい。
マイケル・A・レビ 地球温暖化問題は、かつての汚染問題とは重要な側面において大きな違いがある。汚染の場合は、その影響を受ける地域が限られていた。排出された汚染物質は風下の地域へと流されていき、かなり遠くの地域にも影響を与えたが、地球温暖化問題ほどのグローバルな衝撃を持つものではなかった。
例えば、二酸化硫黄、亜硫酸ガスなどによる大気汚染の場合、規制を通じて、新技術の導入や排出の削減を促せば、比較的短期間で大気は浄化され、よりクリーンな環境を取り戻すことができた。だが二酸化炭素その他の温室効果ガスを大気から取り除くには数百年、あるいはそれ以上の時間がかかる。これが汚染問題と地球温暖化問題の大きな違いだ。温室効果ガスが長期的になくならないからこそ、世界全体に悪影響が及ぶ。
地球温暖化はグローバルな問題だが、温室効果ガスを現在排出しているのは比較的少数の国々だ。この事実が対策責任をめぐる大きな争点の一つとされてきた。というのも、(これまで、そして現在において温暖化問題を引き起こしている責任の所在がある程度はわかってはいるものの)地球温暖化が、グローバル規模の対策を必要とするグローバルな問題だからだ。
対策をめぐる足並みの乱れ
――具体的に、そうした少数の国々とは。
現状での主要な温室効果ガスの排出国は中国、アメリカ、日本、欧州連合(EU)、ロシア、ブラジル、インドネシア、インドなどだ。この国名の順序と排出量の大小は関係ないが、この7カ国と地域が、世界における二酸化炭素の75%を排出している。
――そうした国々の政府や市民は、温暖化対策をとることに合意しているのか。
なんらかの対策をとらなければならないと考える点では広範な合意が存在する。だがどのように対処するか、どの国がもっとも大がかりな対策をとるべきか、そうした対策のコスト負担はどうするかという点でのコンセンサスはない。
地球温暖化の脅威をどの程度深刻に捉えるかでも各国の足並みは乱れている。もっとも大きな危険にさらされている国が、最大の二酸化炭素排出国というわけでもない。例えば、ほとんど温室効果ガスを排出していない小さな島国が、地球温暖化が引き起こす海面の上昇によって、水没という脅威に直面している。
どのような対応策をとるかについての各国の動機が衝突している部分がある。例えば、ブラジルが砂漠化を抑え込み、管理するための措置を導入するとすれば、非常に大きな社会的、政治的意味合いを伴うことになる。また、アメリカで工場や電力生産施設からの温室効果ガスの排出を管理するとすれば、経済全体に大きな影響を与える。国ごとに課題も違えば、国際的協調を阻害する要因も違う。
Climate Control Should Be Important Component of U.S. Foreign Policy
<フォーリン・アフェアーズ日本語版2008年6月号>
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