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〈CFRインタビュー〉パキスタンのトリレンマに出口はあるのか

08年10月号

  • ブルース・O・リーデル

CFRインタビュー
パキスタンのトリレンマに出口はあるのか
――部族地域、カシミール、国内の不安定化にどう対処する

ブルース・O・リーデル/ブルッキングス研究所セバン中東研究センター・シニア・フェロー

――アメリカの戦略立案者の間では、われわれはアフガニスタンでの戦闘に敗れつつあるとみなすコンセンサスが形成されだしているようだ。だからこそ、国境を越えてでも、パキスタン内部のタリバーンを攻撃すべきだと判断したのだと思う。数カ月後にはワシントンに新大統領が誕生する。マケイン、オバマなら、この情勢にどう対応すると思うか。

 ブルース・O・リーデル まずアフガニスタン情勢について。アフガニスタンでの戦争はアメリカにとって例外的な戦争だ。かつて、われわれは別の立場からアフガニスタンでの戦闘に関わってきた。1980年代、われわれは、ソビエトと戦うためにパキスタンを経由してアフガニスタンの戦場へと向かった武装勢力を支援していた。このときの経験からも、「パキスタンに聖域さえ確保しておけば、戦争に敗れることはない」ということをわれわれは身をもって知っている。勝利はできないにしても、敗れることはない。劣勢になっても、とりあえず聖域へと退却して、戦力を再編し、当時のアフガニスタン政府(ソビエトの傀儡政権)を追い込むことができた。パキスタンに聖域さえ持っていれば、アフガニスタンを機能不全に追い込める。

 つまり、次期大統領は、タリバーンに対するわれわれの戦争へのパキスタン側の中途半端な支援路線を見直させるために、パキスタンにおけるアメリカへのイメージを改善しなければならない。そうすることで、パキスタン側をしっかりとわれわれの側につなぎ止める必要がある。パキスタンにイスラム過激派の聖域が存在することに派生する問題を、アメリカの力だけで解決することはできない。パキスタンが核武装国である以上、国境地帯のタリバーンとアルカイダを一掃するために、われわれがパキスタンを侵略して全土を支配するという荒っぽいやり方をとることもできない。パキスタンを武力で制圧するという選択肢がない以上、パキスタン側から協調を引き出す必要がある。

 マケインであれ、オバマであれ、次期政権は、ブッシュ政権期だけでなく、この数十年にわたって蓄積されてきた対米不信の根を取り除いていかなければならない。イスラマバードの文民政権と協調し、われわれがパキスタンの民主化を望んでいることを示し、経済援助を増額すれは、関係を改善していくのは不可能ではない。

 また、パキスタンは、アフガニスタンとパキスタンの境界線としてデュランド・ラインを公的な国境線とすることを望んできたが、これは実現していない。これまで、(パシュトゥン人の居住地域を分断することになるこの境界線を)歴代のアフガニスタンの政権が受け入れることを拒んできたからだ。だが、現在のカブールの政権に対してアメリカは一定の影響力を持っている。1893年にイギリスがアフガニスタンを緩衝地帯として英領インドを守るために引いたとされるデュランド・ラインを、公式の国境線とするために、アメリカがアフガニスタンに対して影響力を行使できるかどうかを検討してみるべきだろう。これは、パキスタンの利益に合致するし、長期的には、すべての国の利益になる。

――いまでもデュランド・ラインは争点とされているのか。

 パキスタンでは、デュランド・ラインを国境線として確定することがいまも懸案とされている。

――しかし、アフガニスタンはデュランド・ラインは受け入れられないと考えている。

 アフガニスタンはデュランド・ラインを国境線とは認めていない。イギリスに押しつけられた境界線という認識しか持っていない。たしかにそうだが、これが当時のイギリスのやり方だった。だが、あれからすでに1世紀以上の歳月が流れており、そろそろデュランド・ラインを国際的な国境線と認めてもよい時期だろう。

 アメリカは外交的にデュランド・ラインの受け入れをカブールに促すべきだ。これが実現すれば、パキスタンの利益になるし、現実からみても違和感はない。われわれがパキスタンに国境管理態勢を強化することを望み、アフガニスタンへのテロリストの侵入を阻止することを望むのなら、そのためにとるべき賢明な第1ステップは、デュランド・ラインを国際的に認知された公的な国境として画定することだろう。

フォーリン・アフェアーズ日本語版

U.S. Needs to Tread Carefully in Pakistan

<フォーリン・アフェアーズ日本語版2008年10月号>

(C) Copyright 2008 by the Council on Foreign Relations, Inc., and Foreign Affairs, Japan

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