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〈CFRコラム〉経済刺激策と地球温暖化対策を一体化させよ

09年01月号

    マイケル・レビ/米外交問題評議会エネルギー・環境問題担当シニア・フェロー

    ■環境対策を意識した景気刺激策を

     経済活動が低下していくにつれて二酸化炭素の排出は低下するが、温暖化を食い止めるほど大きな効果は期待できない。一方、資金が容易に調達できなくなってきている以上、代替エネルギー開発への投資ペースも一時的に鈍化するだろう。経済危機のなかで新たに浮上している数多くの優先課題を前に、世界の政府の多くは温暖化対策を先送りするかもしれない。

     エネルギー安全保障同様に、地球温暖化をとりまく環境も大きく変化している。一年前、アメリカ国内での温室効果ガス排出削減に関する議論は排出権取引システムをいかに確立するかという点に集中していた。たしかに2010年代の早い段階で排出権取引システムを導入する必要があるが、短期的には、このシステムに関する政策論争の優先順位は引き下げられるだろう。排出権取引システムが、少なくとも2012年までに法制化される見込みはないとはいえ、エネルギー課税策も現段階では政治的にみて不可能だ。議会における排出権取引法案の審議も当面策送りされ、これが問題とされることもないだろう。

     経済危機という現実ゆえに、アメリカの温暖化対策は、少なくとも短期的には課税や規制という手法から政府支出へとシフトしていくはずだ。事実、ワシントンでは「グリーンな景気刺激策(環境対策を重視した景気刺激策)」という概念が支持を集めている。専門家たちは、目に見える経済浮遊効果のある環境関連の支出策が何であるかを具体的に特定するように求められている(だが、あくまで重視されているのは環境への配慮よりも、むしろ、経済を刺激することにある)。

     長期的な経済回復策についても近く手がつけられることになるだろうし、「グリーンなインフラ」への投資、労働者への訓練プログラムへの政府支出が重要な要素になるだろう。また、低炭素経済への移行、そして最終的には排出権取引システムにターゲットをつけることも可能になるだろう。

     金融危機によって、「マーケット・メカニズム」という言葉の存在感は一年前と比べても薄れてしまった。経済危機を前に、短期的な関心がガソリン課税、二酸化炭素排出上限の導入といったテーマから離れ、政府支出へと移っていることに加えて、中期的にも、さらなる市場開放から、伝統的な規制が重視されるようになるだろう。これは、「再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準」よりも企業平均燃費(CAFE)基準その他が多く支持されるようになることを意味する。

     これ自体は悪いことではない。例えば、うまく設計されたCAFE基準はガソリンへの課税同様に有益だ。しかし、慎重に進めていく必要がある。われわれを低炭素社会に導いていく上で、排出権取引のようなスマートな市場メカニズムが経済的には生産的なやり方であることに変わりはないからだ。

    A Changed Prognosis For Climate Change Policy

    フォーリン・アフェアーズ日本語版

    <フォーリン・アフェアーズ日本語版2009年1月10日発売号>

    (C) Copyright 2008, 2009 by the Council on Foreign Relations, Inc., and Foreign Affairs, Japan

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