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フクシマ後の世界の原子力産業 ―― CFRアップデート

2011年04月10日発売号

    ■原子力ブーム、そして・・

     現在、世界では数多くの原子力発電施設が建設されている。原子力が二酸化炭素の排出をほとんど伴わずに電力を生産できることなど、原子力産業を衰退からブームへと導いた変化を説明する要因は数多くある。だが、日本での原発事故は、これまでの原発の安全基準をめぐる最大の懸念を裏付けてしまった。

     さらに、技術者不足、施設建設に必要になる膨大なコストなど、原子力発電産業が世界的に台頭していくのを阻む要因は他にもある。

     ペンシルバニア州のスリーマイル島やウクライナのチェルノブイリで原発事故が起きる前から、世界の原子力産業は衰退していた。原発施設の建設コストが非常に高く、安全性をめぐる地域住民の反発が大きかったためだ。

     IAEA(国際原子力機関)によれば、1973年以降発注された原子炉の3分の2が最終的にキャンセルされている。IAEAはその理由について、リセッション、資本コスト、そして(事故の場合の)環境への悪影響という要因を指摘している。

     2010年7月の時点では、アメリカ国内では25の原子炉の建設が予定されていた。だが、米エネルギー情報管理局は、2035年までには、(既存の原子炉の多くが寿命を迎えるために)アメリカの電力生産に占める原始力発電の比率はわずかながら減少すると予測している。

     オバマ政権は、地球温暖化対策の観点から、原発の建設コストへの政府保証を具体化しつつあったが、福島の原発事故以降、これらの建設計画そのものが見直されることになるかもしれない。

     原子力発電支持派は、地球温暖化対策の視点からも二酸化炭素をほとんど排出しない原子力発電の利点に注目してきた。だが実際に、地球温暖化と環境に配慮した原子力発電施設をつくるには、かなりのコストが必要になる。結局は、エネルギー価格を高騰させることになるのではないかと懸念する声もある。

     実際、2007年の米外交問題評議会(CFR)のタスクフォース・リポートも、「エネルギー安全保障を強化し、温室効果ガスの排出を削減していく上で原子力発電が決め手になるかどうかわからない」と疑問を表明している。

        ◇

     <フォーリン・アフェアーズ・リポート2011年4月号掲載>

    (C) Copyright 2011 by the Council on Foreign Relations, Inc., and Foreign Affairs, Japan

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