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第三の産業革命 ―― モノをデータ化し、データをモノにする

2012年11月10日発売号

    ニール・ガーシェンフェルド/マサチューセッツ工科大学教授

    ■新しいデジタル革命とは

     新たなデジタル革命が迫りつつある。今度はファブリケーション(モノ作り)領域でのデジタル革命だ。これまでのコミュニケーションや計算のデジタル化と同じ洞察を基盤にしているが、いまやプログラムされているのは、バーチャルな何かではなく、フィジカルなモノそのものだ。

     デジタル・ファブリケーションによって、どこにいようが、必要なときにいつでもオンディマンドで触ることのできるモノをデザインし、作り出すことができる。このテクノロジーが世界に広がっていけば、ビジネス、対外援助、教育の伝統的モデルさえも大きく変化させることになる。

     この革命のルーツは1952年に遡ることができる。マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちは初期のデジタルコンピュータと(工具を用いて平面や溝などの切削加工を行う工作機械である)ミリングマシンをつなぎ、最初のコンピュータ数値制御型工作機械を作り上げた。

     金属材料を加工する工作機械をオペレーターではなく、コンピュータプログラムで制御することで、研究者たちは、人間が操作して作るよりもはるかに複雑な形の航空機パーツを作り上げた。切削加工に用いるミリングマシンのエンドミルがコンピュータに接続されて以降、硬質材料を切断できるジェットウォーター、短時間で特定の形を切り取れるレーザー、薄く長く切断できる電動ワイヤーを含む、あらゆる切削工具がコンピュータ制御型のプラットフォームにつながれるようになった。

     現在、コンピュータ数値制御型工作機械は、ラップトップコンピュータのケースからジェットエンジンにいたる、ほぼすべての製品を作るために利用されているし、特定製品の大量生産用工作ツールを作るために使用されている。だが、近代的なコンピュータ数値制御型工作機械の進化バージョンも、当初の制約を克服できていなかった。切断はできても、内部構造を造ることはできなかった。その結果、例えば、ベアリング(軸受部)と車軸を別に作って、組み立てるしかなかった。

     一方、1980年代には、「コンピュータ制御型ファブリケーション・プロセス」によって、(薄板を重ね合わせたようなモノを製造の元データとして作成し、それに粉体、樹脂、鋼板、紙などの材料を積層して試作品を作る)積層造形(3Dプリンター)と呼ばれる技術が市場に登場した。CGデータを元に3次元のオブジェクトを造形する3Dプリンターの登場によって、ベアリングと車軸を、同じ機械で1度で作れるようになった。

        ◇

     Neil Gershenfeld マサチューセッツ工科大学教授で、MITのビッツ&アトムセンターの所長。専門はコンピュータサイエンス。

    〈続きはフォーリン・アフェアーズ・リポート11月号〉

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