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歴史は生きている

日本の敗北が一変させた秩序 鄭在貞(ソウル市立大教授)

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チョン・ジェジョン。1951年生まれ。専門は近代韓日関係史。日韓の歴史共同研究や民間交流の中心的存在。著書に「日帝侵略と韓国鉄道」など。

 一つの国だけでなく、東アジア地域全体に与えた影響を考えて「10の出来事」を選んだ。地域の国際秩序や社会構造、国民の意識を変えた出来事を重視し、それが世界に与えた影響も考慮した。

 最も重要なのはアジア・太平洋戦争だ。ここでは1937年の中日戦争から45年の日本敗北までを指している。

 台湾と韓国を植民地化し、中国東北部に傀儡(かいらい)国家をたてた日本は、東アジアの覇権を握る帝国だった。その日本が中国を侵略し、アメリカとも戦火を交えて全面戦争にいたった。日本が敗れた結果、それまでの東アジアの秩序は崩れた。地域の命運はアメリカまたは中国に託され、韓国の解放も成し遂げられた。

 清日戦争における日本の勝利は、東アジアの中心勢力だった中国が没落し、前近代の秩序が崩れる契機になった。韓半島に大韓帝国ができて、形式的には日中韓の3国関係がつくられたが、韓半島と「満州」をめぐるロシアと日本の対立が激しくなった。

 露日戦争では、帝国日本が勝利した影響で大韓帝国が滅ぼされ、植民地化されたことが重要だ。日本は韓国を大陸進出の足場とした。また、清日、露日戦争の勝利をナショナリズムの高揚に利用し、侵略戦争に対する罪の意識を日本国民になくさせる恒常的な状況をつくった。

 米ソ対立という新秩序のもとで起きた韓半島の南北(韓国)戦争は、東アジアに冷戦を定着させ、世界の緊張を強めた。中国はアメリカと対立することになった。

 東アジアの近代化を考えるとき、明治維新はきわめて重要だ。日本とは対照的に、韓国と中国は自力での近代化に失敗した。明治維新と天皇制近代国家の成立は東アジアの他国に刺激を与えたが、日本の侵略に対して近隣諸国が抵抗するという基本的な関係もこのときにできた。

 日本の経済復興は台湾と韓国の経済発展につながった。今や東アジアは世界経済をリードするほどの力を持つ。経済発展はまた、東アジアにおいて民主主義や文化が発展する土台にもなった。

 日本の敗戦後、中国大陸の決戦で共産党が勝利し、国民党が台湾に転出したことによって、東アジアの国際秩序はもう一度改められた。

 中国は1980年代以降、社会主義経済下で近代化政策をとった。世界の工場、市場として発展し、韓国や日本ともつながって東アジアの経済的分業体制がつくられた。中国の経済改革は今後も、東アジアの秩序を変える可能性がある。

 中国とは対照的に、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の経済は破綻(はたん)して窮地に陥った。そこから逃れようとして核兵器開発に手を染めたが、国際社会の批判を浴びた。核の脅威は今後の東アジアの国際関係に影響するだろう。

 金日成を中心とする唯一体制、主体思想が朝鮮民主主義人民共和国で成立し、中国で文化大革命が進行したのは1950〜70年代だ。この二つの国家は東西冷戦を激化させ、体制間競争を加速させた点で世界に大きな影響を与えた。

(聞き手・吉沢龍彦)

 〈注〉 「清日戦争」「韓半島」「露日戦争」「南北戦争」は、日本では「日清戦争」「朝鮮半島」「日露戦争」「朝鮮戦争」と呼びますが、いずれも発言のままとしました。

  • (1)アジア・太平洋戦争と日本帝国の崩壊
  • (2)清日戦争における日本帝国の勝利と中華帝国の没落
  • (3)露日戦争における日本帝国の勝利と大韓帝国の植民地化
  • (4)大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国の成立と南北(韓国)戦争
  • (5)明治維新・天皇制近代国家の樹立と近隣諸国へのインパクト
  • (6)敗戦後日本の経済復興と韓国・台湾の経済発展
  • (7)中華人民共和国の樹立と中華民国の台湾移動
  • (8)中華人民共和国の改革・開放と経済発展
  • (9)朝鮮民主主義人民共和国の経済破綻(はたん)と核開発
  • (10)朝鮮民主主義人民共和国での首領唯一体制の成立と中華人民共和国での文化大革命


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